【精神的ダメージがやってくる!・・・⑮】
「香取さん、最近のあなたに関してなんだけどね・・・、何か、こう、
ひとつの物事に集中出来ない様な、そんな環境になってやしませんかね?
いや、これはあくまでも推察なんですが・・・。」
「・・・。」
「あ、ほら、例えば今回のデータの件も。以前はそんなミスは絶対にして来なかったんで、
香取さんは。仕事で使う重要なものじゃなくて結果的には良かったんですが、
もし重要なデータだったらと思うと・・・、まあ、私は香取さんが小さなミスすらしない方だと
思っているから、仕事で直接使うデータ以外のものもお願いをしてしまっていたわけで・・・、
まあ、香取さんを信頼しているからこそなんですが。」
「・・・はい。」 ― ミスを責められている?そうなのか?―
「・・・ちょっと心配なんです。」
「・・・?」 ― 責められて、・・・ない・・・?
「随分前に香取さんに調べて頂いたデータで、ビジネスマンの精神疾患についてのデータが
あったんですが、日本人は4人に1人がうつ病の危険に晒されている、というデータがあったんです。」
「うつ病、ですか?」
「ええ、なんでも心の風邪と表現されているらしく、誰でもなり得る病気みたいです。」
「それが?」
「香取さんがそうだとは言いません。でも危険に晒されているんじゃないかと思うんです。」
「?・・・どうやってそれが分かるんで・・・?」
―香取は、辛くても嫌でも普通に会社に来て仕事をしている自分を改めて思い返し、
風の噂で聞くうつ病の症状である 「出社できない」 という事態には全く遭遇していない
ことを否定の材料に思い浮かべていた―
「いえ、分かるわけではないんですが・・・。まあ、兆候にも色々あると思いますので
私の思い過ごしかもしれません。驚かせて申し訳ございませんでした。」
「いえ別に、心配して下さって有難うございます。」
―有難いというよりは、何を突拍子もないことを、という思いの方が強かったが、
礼を言う自分が大人に思えたところであった―
明日はまた高津さんのところだ。
ま、来月また池田さんには頼まれたデータを色々調べてみるか。
しかし毎回毎回色々なデータを欲しがるな~。
次回は再生可能エネルギーの市場普及についてと認知行動療法か・・・わっからんね~。
高津の顔を思い浮かべた時に痛くなる側頭部にはもう慣れっこだ。
むしろ池田へのデータまとめが、まだまだ慣れることが出来ない業務であった。
「まあ、俺も色々調べんのは好きなんだけどね~~~。」
とりあえず、村田へは 「Z社うまくいってます」 という報告ができそうな香取であった。
(つづく・文中は全て仮名です)