いつも来る年金定期便・・・。
ハガキをささーっと見て、
そのまま保管をしているのですが、
今回いつもスルーしていた所が気になった。
年金を免除していた期間が2年ほどあって、
もうすぐ10年になる。
10年前・・・。
あの時は年金を納めるどころか、
日々の100円、200円に困っていた。
借金は700万くらいあって、
その借金は増える事はあっても、減るようには思えなかった。
でも、お店をやっていたのであまり不景気な顔もできず、
誰にも苦しい気持ちを言えなかった。
親や親戚にお金を用立ててもらっても、
ジュッと音をたててなくなるほど焼石に水だった。
私にとっては震えるほどの大金の何十万もが、
一瞬でなくなっていく。
勉強代と言うけれど、
本当に勉強をさせてもらった。
私は、あまりに幼稚すぎ、知識もなく、
商売に対する執着もなく、
業者のいいカモだった。
ただ、業者を設けさせただけのような商売だった。
店を閉めると伝えた時の業者の態度は、
当時人間不信になるほど露骨だった。
あの時は、人生で何回目かのどん底（何回もあるんか）だった。
ただ、ありきたりだけど、
本当に時間が解決すると今の私は身をもって感じている。
崩壊したとあの時は思った私の人生。
店を閉める時も、物件の事でさらに過剰な金額を請求されそうになり、
不動産屋の社長と闘い、
結局、何度かその件で不動産屋に交渉に通ううち、
社長のそばにいた秘書みたいな年配の女性が、
私の言い分が間違っていない事を社長に説得してくれて、
話は収まった。
あの人の口添えのおかげで、
店は自分が思っていたよりも高い金額で希望する人に譲渡され、
その金額を全部不動産屋に取られなくてすんだ。
あの時の女性、ありがとうございました。
私だけでは、何十年もやっている不動産屋の社長に
勝てるわけがなかった。
店を閉めた後は、
友達の居酒屋で若い人にまざってバイトをした。
自分の店の常連さんたちに特にお知らせはしなかったけど、
たまにそういう人たちが私のバイト先に来ると、
「〇〇さん、何してるんですか！？」とびっくりされたり、
なぜか急にえらそうにされたりした。
自分の子供くらいの年齢の人と時給900円でバイトしていても
仕方ないので、
なんとか抜け出さなきゃと思っていたけど、
自営業を何年も続けていたので、
派遣会社に登録してもまったく仕事の紹介がなかった。
若い頃、貿易事務を10年くらいやっていたけど、
そんな経験は、ここ何年かのブランクで使い物にならなかった。
このままじゃ、ずっと時給900円だ。
ただ、仕事を求めても、今のままでは無理だ。
どこか、研修がある所を探して、
一からやれる所を探そう。
そう思って、温浴施設のアカスリの研修を受け、
アカスリの仕事を始めた。
その仕事を私は結構気に入っていたけど、
年中中腰の施術と、施術前後の床掃除や、温浴施設の塩素などで、
体の色々なところに不調が出て来た。
最後には立っている事もできなくなり、
病院に行ったら背骨が圧迫骨折していて、神経も圧迫されていた。
指名も増え始めていた所だったけど、
体が大事なので、アカスリの仕事を辞め、
また一から出直す事になった。
コールセンターで研修を受け、
コールセンターで仕事を始め、
そこにいる間に何か身につけなければと思って
TOIECの勉強をした。
毎日毎日消耗して行く中で、
蓄積される物が欲しかった。
スコア850を目指して何度も試験を受け、
やっと850を超えた時、コールセンターを辞めた。
店を閉めてから、
やっとたった一つの、
社会に通用できそうな最低限の武器を手に入れて、
その小さな武器だけを頼りに、
就職活動をした。
そして、小さな商社に運よく就職した。
目まぐるしく、不安で、必死だったこの10年。
今、借金は全額返済完了し（店が譲渡できたのが大きかった））
多少の貯金もできている。
毎週ハイキングだ、川遊びだと言ってキャッキャと遊びまわっている。
あの時の私に、こんな10年後があるなんて想像できただろうか。
本当にお金ってものは、
ない時は苦労しても苦労してもなくなってしまうし、
入る時は苦労しなくても貯まって行く。
そう言えば過去の私はお金に執着もなかったし、
だからお金に振り回されていたかもなあ。
今は、お金が大事なので、
お札一枚一枚ムダがないように大事に意識して使う。
今は自営業ではないので、
業者にいい顔をする必要もなく、
サラリーマンなので、決まった日に入るお給料を、
節約して考えながら使えばいいだけだ。
この10年、本当に勉強させてもらった。
で、過去に免除になっていた2年の国民年金だけど、
合計すると結構な金額にはなるが、
今は払えるので思い切って追納する申請をした。
これで、過去の苦しかった私とさよならできる気がする。
さっぱりと全部精算して、
これから正々堂々と清々しく残りの人生を歩いて行きたい。
私は50歳で生まれたと思う。
それまでは人でなく、餓鬼だった。
人間未満だった。
だから、私の人生の足元の汚れを全部払って、
50歳の新生児で、一からきれいにやり直したい。
今度こそしっかり自分の手綱を握って、
自分の人生を、自分にやさしく生きて行きたい。