昨日からの続きです。

「さぁて、風呂屋に着いたぞ。さあ、どんどん入った入った」
「おとっつぁん、そっちは女湯だよ。男は、こっちこっち」

中に入ると、湯気がモクモクと立ちこめていて、何も見えません。
「おーい、ぼうず。どこへ行った」
「おとっつぁん、ここだよ、ここ」

「さあ、着物を脱いで入るんだ。おとっつぁんが脱がせてやろう。おやっ、いい帯をしめてるなぁ。このへこ帯は、いつ買った」

「おとっつぁん、それは よそのおじさんだよ」
「うひゃー、どうもすみません」

「どれ、おとっつぁんが背中を流してやろう。ほんとにおまえも大きくなったなぁ。産まれたときは、パンダの赤ちゃんみたいに、ちっちゃかったのによ」

「くすぐってえ、やめろ」
「おとっつぁん、それは、おすもうさんだよ」
「うわっ、こりゃあまた、すみません」

「今度はちゃんと流してやるからな。おやおや、おまえの背中はずいぶんと長くなったな。おい、いったいどこまで続くんだ。こんちくしょう、手が届かねえ」

「おとっつぁん、それは風呂屋の羽目板だよ。もう、おいら恥ずかしいから一人で帰るよ」
男の子は、怒って帰ってしまいました、とさ。
これで、おしまい。