グアヤキル | チキート・アベントゥーラス

グアヤキル

「チキ~ト」

税関を通過したとき、一人のフアッと広がった縮れ毛の、典型的な南米人が両腕を広げて出迎えてくれた。





フアン・コバ・カイサ

この月の末に開かれる国際舞台フェスティバル「ENTEPOLA」の主催者兼ゼネラルコーディネーター。

そして自身テアトロ・アラワという劇団を率いており同時に舞台監督もこなす。

ボクと彼は、2年前にハバナで出会った。

たまたまボクが行ったワークショップに参加していたのだ。

フアンはこのとき、自身の出身地グアヤキルでのフェスティバルへ何組かのキューバ人アーティストや芸術関係者にフェスティバルへのオファーをこのとき行っている。

ボクはワークショップの行われたグランテアトロデラアバナ劇場で
働く友達の職員から彼を紹介され、その後夜な夜な彼と一緒にビールを飲む中になっていった。

キューバの中で南米人をみると、少し不思議な感じがする。

B型人の集団にぽつっといるO型人という感じ。

ラティーノなので、性格は明るいといえば明るいのだが、心のどこかで何かを制御している、という印象をもった。

読書家で博士号を持つインテリの彼だが彼のスタンスの範囲はラテンアメリカのみ。

チェ・ゲバラやサパティスタの行動を支持する彼は、自身の舞台における活動も革命だと思っている。

「おれの武器は頭脳と芸術さ」

彼はいつもこういう。

しかしぼくの中で、芸術は革命だとは思うことはあっても「武器」だとは思わない。

なにか、合わない。

スペイン語でガーッと芸術論をまくし立てる彼の姿は獅子のようだが、以前スイス人のシルビア・ベルクマンという映画監督と一緒に舞台論を語ったとき、英語の話せない彼は、一介の典型的な「危険そうな雰囲気をかもし出した」ラテンアメリカのオヤジ、という姿に見えた。


合わないなぁとかんじつつも、彼のおかげでボクは南米の地を踏むことができ素敵な友達達とも知り合うことができたのでそれについては感謝をしているけれど。

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よくきたな!おまえが今回のフェスティバル参加者の中では一番乗りだぞ!

フアンはそういいながらガッシガッシ肩をたたく。

「チキトッ!」
「チ-キート!」

フアンの奥さんの兄、ティオ・ルチョ(ルシオおじさん)、そしてアラワのメンバーイスラエルも迎えに来ていた。


「オラ!」
「オ~ラチキート!」

ティオルチョとイスラエルと握手と抱擁を交わし、
そしてぼくは再びグアヤキルの風を浴びた。


暑い・・・



ただ、ハバナの風のように、何かの予感に満ち溢れた空気ではなく
暑くてクールな空気、

リラックスさせてくれない微妙なストレス