松島で宿泊してとっても気に入った旅館、松庵の 1番の売りは部屋からの眺望です。逆に言うと、雨や悪天候の場合にはこの眺望が楽しめないので、せっかくここまで来たのに、と言う気分になるかもしれません。私もカナダからの一時日本帰国に合わせて前々から計画したので、天気によって日程を変えるわけにいかず、まさに神頼みの数週間でした。弾丸、または直前で旅行を決める場合には、まずお天気をチェックされることをお勧めします。

ラッキーなことに、私たちが訪れた日は特に天気が良く、部屋に入って仲居さんが窓を開けてくれたときには思わず「うわー!」と声が出てしまいました。しかも感動で「うわー!」の語尾が震えしまった感激屋の私…。

上の二枚は翌朝撮った写真です。旅館に着いたのが4時半過ぎて、その時は引き潮でぐっと浜が見えていました。

しばらくすると、小舟に乗ったおじさんがどこからともなく現れて、長い竿のようなもので器用に舟を操りながらゆっくり上陸してきました。まるで水墨画の風景を見ているよう!

日没に向けて、どんどん潮が引いていきました。すると浜辺に住んでいる生き物たちが出す音が聞こえてきます。パチパチパチと泡が弾けるような音で、バルコニーからもはっきり聞こえます。砂の中に住んでいる小さなエビ、カニなどが出しているのかな?

ちなみに完全にプライベートな浜辺ですが、ご覧の通り、降りて行って何かすると言う意味ではちょっと不向きですね。でも眺めているだけで充分楽しめます。

そして翌朝…。5時半に何かに駆られるように目が覚めた私。寝ている母を起こさないように、ベッドルームの襖を閉めてそーっとリビングへ出ました。そこで窓の外に広がっていたのは、前日と変わって満潮の浜辺。たくさんの鳥の声があちこちから聞こえてきます。波は全くなく、鳥の声と、彼らの羽音しか聞こえません。


前の記事でも述べましたが、松庵は全11室しかありません。私たちは日曜の夜に宿泊したのでおそらく満室ではなかったはず。しかもこんなに朝早く起きているのは私ぐらいらしく、一切の物音がしません。

早速ネスプレッソでコーヒーを淹れ、椅子をバルコニーに引っ張り出して、バードウォッチングを始めました。

こんなに静かな1人の時間を持ったのは本当に久しぶり…。静かな朝の浜辺と、鳥達と、私だけ。人工的な音がしないということで、こんなにも気持ちが澄んでゆくんだ、ということをつくづくと感じました。

ほとんどセラピーのよう。しかもこの景色を眺めているのはおそらく私だけ…。変な話ですが、人生の終わりに自分が見ているのがこの景色だったら素晴らしいだろうなぁ、と思ってしまったほど…。


7時前に母が起きてくるまでに、濃いコーヒーを二杯飲み終わっていました。そして母は、バルコニーで呆然としている私を見て笑っていました。

至福の時間てこんな風に訪れるんですね。

ありがとう、松庵。