今年2月に大阪府知事と大阪市長のダブル選が行われました。
これは過去二回否決された大阪都構想=大阪市廃止特別区設置に関して3回目の住民投票を行うことの信任を確認するためだという吉村府知事の弁がありました。
そして来たる来年春の統一地方選にて、同日に大阪都構想=大阪市廃止特別区設置に対する住民投票を実施することを視野に検討しているという報道もあります。
これに際し日本維新の会共同代表の吉村氏は、副首都の対象となった都道府県の「都」への名称変更にも意欲を示しているという大阪日日新聞の報道がありました。
これに対して今日は掘り下げていこうと思います。
まずこのことについては以下の3つの問題点があります。
①都という言葉の意義との乖離
東京都はいわずもがな日本で最も大きな人口と経済規模を有する都道府県です。
その東京には言うまでもなく、日本の富や人が集中し、首都がおかれている都市です。その東京が「都」を冠している。
しかしその「都」という言葉はそうした高いステータスを意味するものではなく、「都」が置かれていることを指します。
京都が古からの「都」であるのに対し、東京は東にある京。都が置かれているので東京都という名称となる必然性があります。
しかし大阪には「都」はありません。吉村氏の大阪についての名称変更が意味するものは、おそらく東京と並ぶ高いステータスを持っているというイメージが欲しいのでしょう。しかしそれは本来の「都」の由来に反します。その疑義がまず一点。
②都道府県名を一部名称変更することの正当性
仮に大阪府で都道府県の名称の変更を認めてしまうと、
例えば
神奈川が「大阪都っていうけど、人口では神奈川の方が多いよね。うちも都にしてくれ」
愛知が「経済規模でぶっちゃけ大阪って愛知とトントンというかむしろ愛知に負けてるよね。うちも都でお願い」
という形で、一つの都道府県の名称変更を認めることで、他の都道府県からも名称変更の依頼がでる可能性がある。
各所で仮に
北海道が「なぜうちだけ道なのか。県にしてくれ」
沖縄が「独立感を出したいので”沖縄州”にしてくれ」
という声が勃発した場合。一つの都道府県で都道府県名の変更の前例を1つ作った場合、これらの要望をいちいち聞き入れなくてはいけなくなり収拾がつきません。
やはり都道府県名は国がトップダウンで「あなたの県はこの名称」という形で強制的に叩きつけなければ、国としてガバナンスが成り立ちません。秩序が滅茶苦茶になるのは明白でしょう。
③名称変更が統治機構改革において本当に必須要件なのか
維新が進めようとしている政策には大きく3つあります。
1政令指定都市廃止、特別区設置。➡通称:大阪都構想
2副首都構想 ➡いわゆる首都機能の分散・移転
3都道府県の名称変更(大阪府の大阪都など)
これらは全てまったく別の法律を前提に進めなければならない、それぞれ別個の案件です。
例えば大阪府が大阪府のままであることで、大阪府民がどのような不利益を被るのか。それを立証する必要があるでしょう。
そしてそれを立証するのは極めて困難ではないでしょうか。
高いステータスが欲しい、高貴なイメージを定着させたい。東京と同じ名前になることで、なんか垢抜けた感じ、格好いい!
いわんやこんな幼稚な理由で国の法律を変えてまで名称変更をすることを認めるべきでしょうか。
また、日本維新の会は国政政党です。
国政政党である以上、特定の地域に特化した、いわば「我田引水」のような政策を、政権与党とはいえ推し進めることが、果たして公平性の高い政治と言えるのでしょうか。
維新の会が特別に大阪府内からの当選者の比率が高いことは理解できますが、国政政党である以上はそこは大阪の最適と日本全体の最適ということの間に一定の線を引くべきでしょう。