やらないで後悔するより、やって後悔する方がいい、と手垢にまみれるほど聞いたことがある人は多いと思うけれども、私は諸手を挙げて「そのとおり!」と思えない。
少なくともある事象Aに対して「やらないで後悔する」世界線と「やって後悔する」世界線とを両方生きることができない。
わたしたちは数十年の人生の中で、あるいは自分の見聞きする限定された範囲の中で経験則としてなんとなく「やって後悔するほうがいい」と思い込んでいるに過ぎない。
冷静に考えてみてほしい。
あなたが信用金庫に勤めていて、あの金庫に入っている1億円を使い込もう、と魔がさしたとする。
確実にその後、その行為を「やらなかったこと」に対して「あのとき魔がさしたけどあんなことやらなくてよかった」と思うんじゃないか。
「やって後悔する方がいい」言説というのは、推定するに、憶病にならずに積極的に思いついたことやっていこうぜ!積極的に夢や目標に挑戦しようぜ!迷っているくらいだったら「やっちゃえ!日産!」みたいなポジティブな感情で励ます言説なんだろうなとは思うけれども、それはあくまで感情的には崇高かもしれないが、少なくとも「予測」や「予想」という意味では意外に「デタラメ」な言説かもしれないよ。