日本語のタイトルは、「リリーのすべて」。
トランスジェンダーをテーマにした作品で、今から100年近く前のデンマークの実在の人物がモデルにしたなっている。
物語は、新進気鋭の画家だった主人公が、やはり画家である妻の作品を手伝うところから始まる。妻の作品のために、女装で絵のモデルをしたことをきっかけに自分の本当の心に気づいていくのだ。
映画では、その他に事実に気づくまでの過程はさらりと描かれていて、そこから自分に正直に生きることへの葛藤や良好だった妻との関係性の変化が丁寧に描かれている。
現代でこそ、そういう多様性が認知されはじめているが、それでもまだまだ生きにくいであろう。ましてや100年近くも前。どれほど生きにくく、苦しかっただろうか。それでも自分に正直に生きる姿はなんと強く、そして切ないのだろうか。
しかし、私がもっと切なさを感じたのは、彼の妻の気持ちと行動だ。最初は、戸惑いながらも彼を支え元の関係に戻ろうとするが、それが叶わないとわかってからは、夫婦としての崩壊を迎えながらも友人として理解者として彼を支え続ける。苦しくてせつなくて愛おしい。
性的マイノリティに対して、抵抗感の強い人が多いようだが、私はあまりない方だところから思う。実際、自分の周りの人に対しても事実を事実として受け入れることは難しくなかった。
けれども、それが夫だったらどうだろうか。夫婦を超えた愛情と友情を持って向き合うことができるのだろうか。そんなことをふと考えた。
