「空中浮遊」

その人は展望台から夕方の景色を眺め

「しょせん人はわかりあえないものなんだから」

と言った

その言葉は灰色の空を見ていた私の心を

静かに横切った


そうだろうか

わかりあえないものだろうか


私は寂しさを感じるとともに

なぜだかわからないが幸福も同時に感じていた


それでもあなたは今

ここに私といますよね

            (銀色夏生)


悲しい気持ちと暖かい気持ちがミルフィーユのように交互にやって来る日々で、

人の感情や思考に呑まれそうになると、立ち止まり自分はどうしたいのかと考える。



すると、気持ちの波は収まり、本当のところはよくわからなくても

厚い雲の向こうには必ず青い空があることを思い出す。



七夕が近づくといつも蘇るのは、



「願い事はひとつ。素直になりたいな。」

とうつむいてつぶやいた男の子の言葉。



今日は星が見えるだろうか。