孤島の鬼(江戸川乱歩)① | チャレンジの日々

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あらすじ

主人公の蓑浦はまだ30歳にもならない青年であるが、髪は見事な白髪である。彼の体験したある恐ろしい出来事の、そのあまりの恐怖のために、黒かった髪が真っ白に変わってしまったのだ。彼の妻の左腿の上には大きな傷跡があり、また恋人と友人とを立て続けに亡くした経験をも持つが、それらもまた同じ出来事によるものであった。 以下、蓑浦の回想という形で物語は綴られていく。

25歳で貿易会社に勤める蓑浦は、同僚の木崎初代と恋に落ち結婚を決意する。初代は3歳の時に実の親に捨てられ、今は養母と二人で暮らしていた。初代が捨てられた時に持たされていた系譜図は肝心なところが破れていて、やはり身元はわからないのだが、初代はお守りがわりのように肌身離さず持ち歩いている。結婚指輪を贈る蓑浦に初代は「私はお返しできるような値打ちのあるものは何も持っていないから、命の次に大事なこれを」と系譜図を贈るのだった。

そんな折、初代に猛烈な求婚運動をする者が現れる。家柄も収入も学歴も蓑浦より格段に上のその男は諸戸道雄といい、蓑浦の知り合いだった。蓑浦と諸戸は学生時代に知り合い、蓑浦は6歳年上の諸戸を尊敬できる先輩として慕っていた。諸戸は快活で頭のよい美男子だが実は同性愛者であり、蓑浦に恋情を寄せていた。蓑浦は同性愛者ではなかったが、尊敬の対象である諸戸にそういった感情をむけられることで少しばかり自尊心がくすぐられる向きもあり、諸戸の気持ちをわずかに悟りながらも友人関係を続けていた。酒の勢いで諸戸の恋情が露見した後は気まずくなり会うことも少なくなったが、今でも熱烈な手紙をよこす諸戸と、つい最近出かけたこともあった。蓑浦は、諸戸が初代に求婚したのは、自分と初代の仲を引き裂くためではないかと疑う。

ある日初代が自宅で殺され、いつも系譜図を入れていた手提袋と、なぜかチョコレートの缶が盗まれる。自宅の鍵はすべてかけられており、侵入の痕跡は見当たらない。蓑浦はひそかに初代の復讐を誓い、探偵業を営む友人の深山木幸吉に初代の系譜図を預けて捜査を依頼する。しかし、深山木もまた犯人からと思われる脅迫状を受け取った直後、混雑した海水浴場で蓑浦の見守る中、何者かによって殺されてしまう。現場検証を見守る群衆の中に諸戸の姿を発見し、蓑浦はいよいよ諸戸に対する疑いを深める。

蓑浦が諸戸の家を訪れて問い詰めると、諸戸は自身も事件の捜査をしていること、しかも犯人を突き止め、今この家に呼び出していることを告げる。2つの殺人事件の実行犯は曲芸一座の子供であった。チョコレートを餌に犯行を自白させることに成功するが、背後にいる黒幕の正体を聞きだそうとした瞬間、子供は窓の外から拳銃で射殺されてしまう。

深山木は殺される直前、蓑浦に初代の系譜図と共に何者かの手記を郵送していた。系譜図の表紙の内側には「神と仏がおうたなら 巽の鬼をうちやぶり 弥陀の利益をさぐるべし 六道の辻に迷うなよ」という暗号らしき文章が記されていた。また手記に書かれた風景が、諸戸が育った紀伊半島の沖の孤島にある岩屋島であるらしいこと、さらにそれが、亡き初代が子供の頃に住んでいた場所であることに気づき、二人は驚く。

二人は事件の真相を解くため岩屋島を訪れることになる。そして島ではおぞましく不幸に呪われた、残酷な「鬼」の所業ともいえる恐ろしい出来事に巻き込まれてゆく…。

以上、wikiより引用




今日は、映画じゃなくて本です。

最近、映画『パラサイト』を観たんですね。
もう。。。がっかりで(-_-;)
このがっかり感、映画『万引き家族』を観た時の感覚そのままですね。
やっぱり、前評判が良すぎると、期待し過ぎて観るので、それがいけないんでしょうね。
映画は何の先入観もなく観るのが一番ですね。
つまらなくても、がっかりもしないし。

今日、どうして「孤島の鬼」を書こうかと思ったかというとですね。
『パラサイト』を見て、江戸川乱歩の「人間椅子」や「屋根裏の散歩者」を思い出したからなんですね。
少し前にレビューを書いた、『その住民たちは』でも、それらを連想したんですが。
乱歩は、1925年にそれらを発表しているので、そういったストーリーの先駆者ではないでしょうか。

それで、私は乱歩と言えば、「孤島の鬼」が一番好きなので、これを書いてみようと思った次第です。
漱石なら「こころ」、乱歩なら「孤島の鬼」です。

さて、内容は。。。。。

主人公は箕浦という青年です。
映画化したら、これは誰がピッタリかなと、完全に私の独断と偏見では、この人。

(ホントにすみません、キャストはこの作品と、何の関係もありません(-_-;))

箕浦がですね、まだ若いのに、老人のような白髪で、自分の妻の腿には大きな痣があることから語り始めるのです。
伏線ですね。
え、何何?と、最初から引き込まれていく乱歩の上手さ。

箕浦の妻の秀ちゃんは、私的配役ではこの人。


箕浦が語り始める物語はですね、まだ自分が若い頃。。。。
初代という最愛の恋人が出来て、浮かれ気分の毎日を送っていたことから話し始めます。
初代は、私的配役ではこの人。


相思相愛で、お互いがお互いを運命の人だと思っていた2人(箕浦と初代)。


そんな2人の日々に割って入るように、突然初代にプロポーズしてくる諸戸という男性。
私的配役はこの人。


初代の母(養母)は、医科学者の諸戸の将来性を見て、意外と乗り気。
初代は、3歳の頃に捨て子だった自分を拾って育ててくれた養親に恩義を感じてはいるのですが、愛する箕浦以外に結婚相手は考えられないので、母に反抗します。

そして、それを知った箕浦はというと。。。。
初代に求婚者が現れた、という出来事よりも、それが諸戸であることに驚くんですね。
何故なら、箕浦が下宿屋生活の頃、同宿であった諸戸から求愛されていた過去があったからです。
諸戸は、箕浦を愛していて、女性には嫌悪を感じる体質であるのに、女性である初代にプロポーズするなんて。。。。
箕浦は、それはきっと自分を手に入れたい為に、初代との恋路を邪魔しにきたのであろうと考えます。

そうこうするうちに、初代は何者かに殺害されます。
箕浦は、それも自分を手に入れたいがための、諸戸の犯行なのではと疑念を持ちます。
初代の死に号泣するものの、最愛の初代の為に、犯人への復讐を胸に決め、初代の遺灰まで食べる箕浦は、友人の探偵・深山木に調査を依頼します。
深山木の、私的配役はこの人。


独身ながら子供好きで頭脳明晰って感じのキャラクターかな。
勘も鋭いので、着実に何かを探し当てていくのですが、真相に迫ってくると、深山木に犯人から脅迫状が。。。
事件の鍵を握る証拠品を返さなければ、正午までに死ぬという。。。不気味な脅迫状です。
そんな神がかり的な犯行予告声明が実現するなんてあり得ないと笑う箕浦に対し、何故かそんな駄文を恐れる深山木。
彼は調査の結果、ある事実を突き止めていたのです。
「これは、思いもしない恐ろしい事件なのだ」という深山木に、箕浦はその事の詳細を尋ねるのですが、深山木は、何の説明もしません。
そして、その犯人が欲しがっている証拠品というものを、君に(箕浦)郵便で送ったから、それを隠して保管しろと言うのです。

次に、正午に自分の命が危ないと考えた深山木は、人込みにいれば犯行も難しいであろうと考え、海水浴場で、自分になついている子供たちに自分を砂に埋めさせて遊びはじめます。
そのような場所で、大勢の子供たちに囲まれていては、殺人など出来ないであろうと。。。。

しかし、その遊びの最中の正午、深山木は、埋められて遊ぶ砂の中で刺殺されていたのでした。。。。

乱歩の神髄のミステリーですね。
密室殺人であった初代と、マジックのように刺殺されていた深山木。
2人の刺殺体の状況が似通っていることに、同一犯人なのではと察する箕浦。
しかも、その海水浴場で、箕浦は、遠くに諸戸の姿を見かけるのです。

これは全て諸戸の犯行なのではと感じた箕浦は、諸戸を尾行することにします。
すると、諸戸の屋敷に侵入する奇怪な容貌の傴僂の老人の姿を見ます。


そして、思い出す生前の初代の言葉。。。。。
傴僂の老人が自分を付け回していて怖いと言っていた言葉。。。。
不可思議な状況が多く、箕浦は混乱に陥ります。
箕浦は勇気を出して、老人の跡を追うように、諸戸宅を訪問します。
しかし、その老人は諸戸の門戸の中にはいないのです。
老人のことを問う箕浦でしたが、諸戸はその人物についてさっぱり見当がつかないと言います。
そして諸戸は、自分の箕浦への恋心が募るあまり、初代と箕浦の邪魔をしようと初代に求婚した無礼を後悔し、箕浦の為に犯人捜しをしていると言うのです。
元々諸戸の自分への恋心や彼の誠実な人柄もを知っていた箕浦は、諸戸を信用することにします。


諸戸は箕浦に、ある子供と引き合わせます。
それは、曲芸一座の子供でした。
初代の密室殺人は、初代の部屋にあった花瓶に潜んでいたその子供が深夜に花瓶から出て行った犯行であり、深山木の殺害は、砂に埋める遊びをしていた子供たちに混じっての犯行であったと。。。


少し知恵の遅れたその少年は、諸戸が用意したチョコレートに目がくらんで、その犯行を白状します。
そして、諸戸と箕浦が、それを指示した人物の名前を聞き出そうとすると、何とその時、どこからか銃弾が飛んできて、少年は殺されてしまうのです。
それによって、また犯人は分からず仕舞いに。。。。

。。。。。長くなりそうなので、区切って投稿することにします。
続きは次回ということで。。。。(-_-;)