いつか読書する日 | チャレンジの日々

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ストーリー
幼い頃に父と死別し青春時代に母も失った大場美奈子(田中裕子)は、未婚のまま故郷の町で50歳を迎え早朝は牛乳配達、昼間はスーパーのレジ係をしている。彼女には古くからの親の知人(渡辺美佐子)がいるが夫(上田耕一)は認知症の初期にあった。

一方、彼女と交際していた同級生の高梨槐多(岸部一徳)は、役所の児童課に勤務し親の虐待を受けている児童の保護にあたっている。彼には余命いくばくもない病床の妻の高梨容子(仁科亜季子)がおり昼はヘルパー、夜は彼自身が献身的に介護をしている。

二人は青春時代に運命のいたずらで仲を引き裂かれた暗い過去があった。美奈子の母親(鈴木砂羽)と高梨の父親(杉本哲太)が不慮の事故死をとげ不倫関係が世間の明るみとなり、以降は互いの恋愛感情を封印するのが最善と考え相手を無視しつつ別々の人生を歩んで来た。しかし美奈子はその想いをラジオへ密かに投稿してしまう。

ある日に高梨宅に配達時、牛乳箱に自分宛のメモを見つける。容子が至急会いたい、らしい。不信に思いつつ訪問する美奈子へ、「夫は今でもあなたを慕っているので私が死んだら夫と一緒になってほしい。それが最期の願い」と告げる。容子には二人の感情が見えたのだ。

唐突な内容と頼みを受け激しく動転する美奈子。だが、容子は死期を迎えることになった。葬儀も終え一段落し高梨を誘い、お互いの親の事故現場を訪れた二人は今までの積年の想いを伝える。そして初めて結ばれたのだが…。

以上、wikiより引用




母子家庭の美奈子は、高校時代に、母が不倫相手と共に交通事故で亡くなり、独りぼっちになります。

母の不倫相手は、自分の交際相手槐多の父親でした。。。。


親の不倫により、お互いの母親と父親を亡くし、疎遠になった美奈子と槐多。


大人になり、槐多は市役所の児童課という職に就き、美しい妻とも結婚しています。


美奈子は槐多を想い続けたまま50歳を迎え、早朝は牛乳を町の人々に配る仕事をし、そこからスーパーのレジの仕事、と掛け持ちして暮らしています。




唯一の楽しみは本を読むことで、いつか時間に余裕が出来たら読もうと、読みたいと思った本は、今、全てを読めなくても、買い揃えています。




槐多の妻容子は、病気で寝たきりであり、残り少ない命です。


容子は、夫の槐多が、夫としては献身的で申し分ないけれど、その心は美奈子を想い続けていることを知ります。


残り少ない自分の命です。
自分の死後は、美奈子と幸せになって欲しいと、槐多に話します。

しかし、槐多は、親が不倫で亡くなった時に、
「絶対に自分は平凡に生きてやると決めたんだ」と突っぱねます。

容子は諦めきれず、美奈子を自宅に呼びつけ、夫に話したのと同じ提案をします。

けれど美奈子も、そんな願いは聞き入れられません。

そうこうするうちに、容子は亡くなります。

容子からの手紙を受け取った美奈子は、意を決して槐多に会いに出かけます。

お互いの気持ちが、同じであることを確かめ、結ばれる2人。

しかしその翌日、槐多は川で溺れそうな子供を助けて死んでしまうのです。

結局、独りぼっちのままの美奈子。
しかし、その表情は、それまでと比べ、明るく前を向いていました。

。。。。。。という内容です。

まあ、私の感想としては、思春期の子供を抱えて、この美奈子と槐多の親は、何をやっているんだ、ということと。


心は美奈子を想い続けたまま、容子と結婚した槐多。


この人たちへの怒りでしょうか。。。。

そして、思い出したのが、「利休にたずねよ」という映画ですね。

利休は、遊郭みたいなところで遊び惚ける放蕩息子なのですが、19歳の時、高麗から来た運命の女性と出会い、恋をするのです。
その女性を高麗へ帰してあげようとするのですが、追手が来て、追い詰められた2人は心中しようと決めます。
彼女は先に服毒自殺をするのですが、利休は怖気づいて毒を飲むことが出来ず、生き残るのです。。。
まあ、ここでも、先に死んだ彼女はどうなるんだと、嫌な気になったのですが。
そこから利休は、この映画の槐多みたいに、別の女性と結婚するんですよね。
心は高麗の彼女を想い続けたまま。。。

妻は、利休の心に別の女性がいることを知っていて、
「私が妻で良かったのでしょうか」と尋ねるのですが、利休は、
「妻となる人はお前以外にいない」と答えるのです。。。
肌身離さず、高麗の女性の形見を持ちながら。。。

どの口が、とホントに怒りが湧いて、未だにレビューが書けない映画の1つです。
話の軸の「茶道」も秀吉も、吹っ飛んでしまって(-_-;)

でも、今回この作品を見て、少し考えが変わりました。

槐多も利休も、他の女性を想いながら、配偶者は別なことが、何だか嫌だったのです。
でも2人とも、心だけの問題で、不義はしていなかったんですよね。。。

そして、利休の妻は、利休の死後、利休が形見離さず持っていた高麗の女性の形見を投げ捨てようとしたのですが、出来なかったのです。

それと同じように、美奈子も、槐多の死後、それまでの人生より、表情が明るくなっていました。
槐多の妻も、自分の死後の夫を心配していた。。。。。

愛なんでしょうね。
自分以外の「他の誰か」を想っていても、それでも愛せる人がいるということは、それだけで幸せなことなのかもしれません。

幸せだけれども、辛い愛です。

でも、利休の妻も美奈子も、相手の死によって、その縛られていた愛から解放されたのではないかと。

人を想う気持ちは止められないので、槐多も利休も仕方がなかったということ。

そして、利休の妻も、美奈子も、辛い愛から解放されて表情が明るくなったこと。

この作品の美奈子の前向きな表情で、何となく、自分の心に嘘をついて結婚生活を続けた男性側(利休と槐多)への怒りがなくなった私です。

私的評価星星