運び屋 (2018) | チャレンジの日々

チャレンジの日々

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解説
「The New York Times Magazine」に掲載された実話をベースにしたヒューマンドラマ。麻薬を運ぶ90歳の男に待ち受ける運命を描く。監督と主演を務めるのは『ミリオンダラー・ベイビー』などのクリント・イーストウッド。イーストウッド監督作『アメリカン・スナイパー』などのブラッドリー・クーパー、『マトリックス』シリーズなどのローレンス・フィッシュバーンらが共演する。

あらすじ
90歳のアール・ストーン(クリント・イーストウッド)は、家族を二の次にして仕事一筋に生きてきたが、商売に失敗した果てに自宅を差し押さえられそうになる。そのとき彼は、車で荷物を運ぶだけの仕事を持ち掛けられる。それを引き受け、何の疑いも抱かずに積み荷を受け取っては運搬するアールだったが、荷物の中身は麻薬だった。

以上、映画情報サイトより引用

90歳のアール。


家庭より、社会の一員であることに重きを置き、妻とは離婚しています。

実の娘の結婚式はすっぽかし、それ以降12年も口をきいてもらえません。

仕事も、時代の流れについていける年齢でもなく、車もオンボロ、家は抵当に入っていて、差し押さえられそうという、正に崖っぷち。

そんなある日、フラリと出向いた孫娘のパーティーで、見知らぬ若者に、車を運転するだけでお金になる仕事をやらないか、と持ち掛けられます。

車を運転するだけ。。。。半信半疑でしたが、指定の場所まで行ってみるアール。

トランクの積荷を、指定場所まで運ぶだけ、と言われ、とりあえずやってみます。

すると、予想外の高額報酬が。。。。

まあ、そんな状況なので、それがまともな仕事ではないことがアールには分かるので、1回だけ、と思っていました。
しかし、お金の魅力に勝るものはなく。。。。

再度、ドライバービジネスに挑戦します。
新しい車を買い、家も取り戻し、資金難の友人にも援助できるとなると、もう辞めることが出来なくなっていきます。

積荷が知りたくなったアールは、「見てはいけない、聞いてはいけない」なんていう、鶴の恩返し的な掟を破り、積荷を確認すると。。。。
中身は、ドラッグ。
まあ、こんなことだろうと、予想通りの結果です。

しかし、普通の仕事では決して手に出来ない金額の報酬だし、そもそも、90歳の男に職はないのです。
友人も助けることが出来るし、唯一自分とコンタクトを取ってくれる孫娘への学費等の援助も出来る、という誇りは、アールの何よりの心の栄養なのです。

気ままに休憩を取ったり、ドライブを楽しみながらするアールの運び屋稼業は、警察の追っても予測がつかないという利点もあり、マフィアのボスにも気に入られていきます。
警察に車を止められても、まさか90際の老人が、ドラッグの運び屋だとは思われないですから照れ

しかし、マフィア側も、気質の違うボスと下剋上のように世代交代となり、アールにも厳しいルールが課されます。
警察の手もますます伸びてきて、アールは危機的状況に陥ります。


そんな時、別れた妻が、もう余命数日という連絡を、孫娘から受けるアール。

運び屋稼業は、時間厳守。
今のボスの下では、逆らえば殺されるという状況なのです。
しかし、アールは、これまで顧みてこなかった家庭を、自分の死を覚悟の上で、選択するのです。

ベッドで死を待つ妻につきそうアール。


そんな父の姿を見て、12年にも及ぶ冷たい戦争をしていた娘も、心を開き、彼を許すことができます。


妻は亡くなるのですが、最期の時を共に過ごせた2人は、お互いの大切さに気付き、深い愛を知ります。
それは、娘も孫娘も同じでした。
彼らは、ようやく理解し合え、家族の大切さを噛み締めたのです。

しかし、遅れを取った仕事で、マフィアからは暴行され、警察は、もう彼をロックオンしている状態です。

アールは逃げきれず、遂に逮捕となり。

老人の人の好さに付け込んだマフィアの犯行、と、弁護士は頑張るのですが、アールは、有罪を希望します。

分かっていてやったことですから。
償わないことには、前に進めないのです。

刑務所で、かつての百合の栽培の仕事に精を出すアールの姿で、映画は幕引きです。
彼の生き生きとした表情。

老人には難しい、社会の一員として扱われ、そして報酬も得、大切な人達を助けることができた、という誇り。
高齢化社会の日本でも、その意味を考えてくれる政治家がいるといいな、と思います。

私的評価星星星