戦後経済大国となった日本ではあるが、はたして本当に幸福なのか?
数字の上では、確かに、経済的には豊かになったが、幸福度は世界第3位に見合うほど高くない。実際去年の調査では、OECD諸国34か国の中で「安全」などが高いものの「生活満足度」については最低水準となっている。
今日、この問いに真正面から取り組んだ画期的な映画「happy ~しあわせを探すあなたへ~」の試写会が、広尾のJICA地球ひろばで開催され、参加した。
劇場公開に先立ち開催された『happy』先行上映会と日本の幸福度に関するシンポジウム「日本人にとっての幸せとは何か?」会場は満席で、その熱気から、皆さまの関心の高さを感じた。
(右は古川国家戦略担当大臣、左はブータン政府GNHコミッション初代首相フェロー御手洗氏)
映画の内容も、心に響くよい映画であった。その後の、座談会も実によかった。
先行上映会に続く幸福度に関するシンポジウムは、長年にブータンのGNHを日本に紹介している明治学院大学の辻信一教授がモデレーターを務められ、パネリストには古川元久国家戦略担当大臣(政府における幸福度に関する研究調査を担当)、ブータン政府GNHコミッション初代首相フェロー御手洗瑞子(たまこ)氏、映画のメインプロデューサー、清水ハン栄治氏の錚々たる顔ぶれが参加され、みなさんで、いかにして幸福度の高い社会を実現できるのかについて、実に味わい深いディスカッションが展開された。
(パネリストのみなさま)
映画の中でも、今日のシンポジウムでも言及されていたが、アメリカではすでに30年以上前の1981年から幸福度研究が始まっていたらしい。そして、幸福度を教える講座はハーバード大学でも人気となる。
過去50年でアメリカ経済は大きく飛躍し、平均的なアメリカ人の収入は倍増したが、幸福度はある時点で頭打ちとなっている。
お金持ちになっても、幸せはさほど増えないことが分かってきた。
では何が私たちに幸福感を与えるのか?
その問いに向きあい、人々は真摯に考えるようになってきている。
この映画を観て、ショックであったのは、日本を象徴的な幸福度の低い国として紹介されている点であった。最新データでは、日本は、先進国で最も不幸せな国とされているらしい。経済的成長と物質的繁栄に重きを置いた結果、「過労死」が社会問題化するほどストレスの多い社会となってしまった実態を、大手自動車メーカー勤務の中堅社員の過労死につき、インタビューで浮き彫りにしている。
一方で同じアジアのブータンでは全く異なるアプローチを選択した。
GDP(国内総生産)ではなく、GNH(国民総幸福量)を最大化しようとしているのである。
シンポジウムの席上、ブータン政府初代首相フェロー御手洗氏もおっしゃっておられたが、日本人は「幸せべた」かもしれない。
はたして、どうしたら私たちは幸せになれるのであろうか?
【happy ~しあわせを探すあなたへ~ 】・・・公開情報より抜粋
2012年/76分/アメリカ/Color HD
監督 / 撮影監督 / プロデューサー:ロコ・ベリッチ メインプロデューサー:清水 ハン 栄治
プロデューサー:フランシス・リード 製作総指揮:トム・シャドヤック、編集:ヴィヴィアン・ヒルグローブ 撮影監督 / アソシエイトプロデュー、ー:エイドリアン・ベリッチ、出演:エド・ディーナー、ソーニャ・リュボミアスキー、ダニエル・ギルバート、グレゴリー・バーンズ、ミハイ・チクセントミハイ、P. リード・モンタギュー、ティム・キャサー、リチャード・デビッドソン、ダライ・ラマ14世、ダショー・キンレイ・ドルジ、ナレーション:マーシー・シャイモフ 製作:ワーディ・ラム・プロダクションズ、配給・宣伝:ユナイテッドピープル
5月12日(土)から渋谷アップリンク他で劇場公開されるドキュメンタリー映画『happy – しあわせを探すあなたへ』 は、幸福度の研究における世界的リーダーであるエド・ディーナー博士やリチャード・デビッドソン博士など、心理学や脳医学の世界的権威たちと共に、私たちがどのようにより充実感を得て、なおかつ健康で幸せな生活を手に入れることができるかを探求します。
URL: http://www.happyrevolution.net/
【清水 ハン 栄治】・・・公開情報より抜粋
映画『happy』メインプロデューサー。メディアプロデューサー。1970年、横浜生まれの在日コリアン。マイアミ大学MBA。サン・マイクロシステムズ、リクルート社にて事業開発を経て渡米し、『happy』のメインプロデューサーとしてベリッチ監督と共に6年の歳月をかけ、世界中のハピネスを研究する。ポジティブ心理学や世界中の瞑想法を探求し資格を取得し、現在バリ島の田舎に在住、しあわせ向上のワークショップなどを開催しながら、シンプルライフを満喫している。