「現代最大の経済悪の多くは、危険と不確実性と無知の所産である。富のはなはだしい不平等が生じるのは、境遇とか能力に恵まれている特定の個人が不確実性や無知につけこんで利益を手に入れることができるからである。」


(「自由放任の終焉」より)


「重大な戦争と顕著な人口の増加がないものと仮定すれば、経済問題は、100年以内に解決されるか、あるいは解決の目途がつく(注)。・・・これは、経済問題が人類の恒久的な問題ではないことを意味する。」


「余暇の時代、豊かな時代を、不安感を抱くことなしに期待できるというような国もなければ、国民もないと、私は考える。なぜならば、われわれはあまり長いこと楽しむようにではなく、懸命に努力するように訓練されてきているからである。」


(「わが孫たちの経済的帰結」より)



ジョン・メイナード・ケインズ




(注)ちなみに、ケインズが「わが孫たちの経済的帰結」においてこう論じた時期は1928年であったから、もう82年がたっていることになる。とすると、ケインズの言う100年後とは、2028年、つまり後18年後である。はたして、経済問題は、18年後に解決されるているのか、あるいは解決の目途がついているのであろうか。この問いにケインズはなんと答えるのであろうか。