秋は読書量が増える。最近結構面白い本が増えている。
先日職場の先輩が1冊面白い本を貸してくれた。タイトルは「容疑者ケインズ」。
最近ケインズづいている。この前長女の英国の大学の卒業式で渡英した際には、ロンドンのブルームズベリーでたまたまケインズが住んでいた家を発見、ずっと探してたので、あのときは感動した。
彼が一般理論で一世を風靡した以降、特にケインズへの賛否交々、評価は様々だが、いずれにしても有史来多くの経済学者の中で最も引用され言及され議論されてきた最も影響力の大きかった偉大な経済学者の1人であることは誰しも異論はなかろう。
「資本主義という経済制度が、決して自立的に安定するような制度ではなく。放置しておくと不況と言う非効率が慢性化する可能性が高い」ことを喝破、しかも問題提起に留まらずその処方箋も書いた偉業は誰しも認めるところであろうし、少なくとも徒然人はその彼の偉業を凌駕できる比類の経済学者を他に知らない。
この本の著者の小島氏は「ちょっと先走りにすぎて軽率だが、めちゃめちゃ鋭い洞察力を持つアイデアマン」と評価しているが、言いえて妙である。
1ついえることは、確かにケインズの議論は詰めが甘かったり矛盾もあるが、それは彼の魅力を損なうものではなんらないのである。最近の多くの経済学者に特に多いと言われている縦割り分業が行き過ぎて専門化ゆえに狭く深く研究を深化させてゆくあまり、確かに批判されにくい点はあるが、一方で緻密すぎで全体のダイナミズムが貧弱である事情もあり、やや議論の内容と人物自体が小粒になったきらいは否めない。それ比較してケインズのスケールと洞察の魅力とその議論展開の迫力は現下の経済学者とは比較にならない次元に存在していると思う。
いまやサブプライム危機に端を発した未曾有の国際金融危機の只中にある。温故知新ではないが、ケインズの洞察に学ぶことは多い。彼は一流の貨幣論者でもあったし実務の証券投資にも関わった実際家でもあった。かような現下の深刻な金融的事象に彼だったらいかなる処方箋を書いただろうか。
秋の夜更け、さてさてこれからじっくりと読んでゆこう。
