よく出張でロンドンの地下鉄に乗る時に目にする言葉が「mind the GAP」である。
ようは「隙間に気をつけろ!!」という警鐘であるが、いま世界にとって最も必要な警鐘はこの「mind the GAP」ではないかとも思う。
では何のGAPか?
それは「リアルと仮想(注)のギャップ」である。
現代の世界が抱えている最も深刻な問題は、実は「リアルと仮想のギャップの程度問題」ではないかと思う。
サブプライム問題も政治も民主主義もゲームも携帯も実は根っこで繋がっていて、その本質は「リアルと仮想のギャップの程度問題」を抱えていることではないか。
極論すると、最近の現代人の精神が病んできている元凶の根本には、この手のつけられない「リアルと仮想のギャップ」があるのではないかとも思う。
ギャップが全然ないのもまた夢がなくってつまらないとか不都合だという意見もあり、かと言って際限なく青天井に「仮想」が膨らんでいってもこれは「危険」極まりない。
今回のサブプライム問題はまさに無政府状態で節操なく膨らみすぎた風船がへ限界点に達してシュリンクした現象だとも言えよう。1997年のアジア通貨危機もその本質は同じで世界を席捲した過剰流動性という一種の幻想、仮想が災いしているわけで、それ自体が資本主義の本質でもある。
ではそのギャップの「最適な幅」はどの程度であろうか。
たまたま今日もユーロマネーのコングレスに参加して、中の1人が「感覚ではあるが」と前置きして「リアルと仮想のギャップの最適値」はちょうどリアルの2倍ではないかと言っていたのが印象的であった。
昨今のITテクノロジーの目覚しい進化は、確かに良しにつけ悪しきにつけ世界を変えた。そして便利になった反面、カタストロフな状態に世界中が瞬時に巻き込まれる局面も多く多発するようになった。
過ぎたるは及ばざるがごとし、昔の人はうまいことを言ったものである。
(注)コンピュータの世界でも「仮想(virtual)」という言葉はよく使う。我々がいま使っているPCの内部には、ハードウェア以外に、ファイルやプロセスやウインドウ 等の便利なソフトウェアの働きによってつくられたさまざまな幻影(オブジェクト、仮想的な「もの」)が存在する。 この幻影を創っているソフトウェアが、オペレーティング・システムである。 そのガリバーがマイクロソフトであることは周知である。コンピュータが発達してきて、「仮想(virtual)」という考え方が広がってきた局面がもっとも顕著に現れたのが市場経済、特に金融派生商品と呼ばれるデリバティブズである。