「人生は祭りだ。一緒に楽しもう」。心に残る言葉である。
青山で久しぶりにフェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)の『8 1/2』を観る。
不思議な映画である。
自分が生まれるもっと前の大昔の古典的な名作『道』を学生街の汚い映画館で見てその豊かでもの悲しげな深い叙情性とヒューマニズム衝撃を受けたのがもう何十年も前のことであるが、このもう1つのユニークな名作は、違った意味でフェリーニの存在を徒然人にとって特別なものにしている。映画が撮れなくなった映画監督の話を借りてフェリーニの内面が赤裸々かつ高度なシンボル的映像表現で綴られているこの作品は実に「素直」な映画で、やや混沌としている夢うつつのような展開に、そうそう確かに人間の心理って心象風景ってこんなものかなと、妙に不思議に懐かしい擬似体験を感じるのである。これだけ素直にやりたいほうだいに自己を表現できたら人間は幸せだろうと思うし、それが表現できてしまうフェリーニはやはりすごいと思う。そこにはややモナ憂げな空気もあるなかでしっかりと生きていく意志が現れていて、「人生は祭りだ。一緒に楽しもう」という明言は、名作『道』のあまりに有名なせりふ「どんな物でも何かの役に立っている。この石ころだって」という台詞と二重奏のように徒然人の心を揺さぶる。
