最近のフォーリン・アフェアーズで、CFRのリチャード・ハースがこう面白いことを言っている。「これまでの世界秩序が劇的に変化し、世界は今後、無極化(ノンポラリティ)になる。」と。
20世紀は多極化の時代で幕開けしたが、その後米ソの2極化の時代を経て、1990年代にソ連が崩壊し、ヤルタ体制が崩れ、しばらくはアメリカという1国家が世界秩序を支配する時代が到来したが、その寿命は20年程度とあまりに短く、長い世界の歴史の流れから観れば「瞬間」にすぎない。
そして、いま始まろうとしているのは、「無極化(ノンポラリティ)の時代である」と。
それはどんな時代なのだろうか。人類にとってより「ましな時代」なのだろうか。
ここで思う。
1ついえることは、古典的な大国間抗争が起きる可能性は小さくなり、主要な多くの国家が、いままでと全く違った次元で、経済的な繁栄と政治的な安定を求めて国際システムに多く依存する時代になるだろう。その意味でも、もはや政治的な北極も南極もないのである。逆に言えば、満場一致型のコンセンサスがとりにくい時代でもある。そして、同盟関係に代わる経済的なパラレルな関係や貿易や投資を軸に平和的な相互依存関係が醸造されてゆくことが、人類のたどる新しい道かもしれない。それはいままでの勇ましい「ますらお」の時代の終焉であり、たおやかな、はんなりとした「しなやか」な時代の到来を意味するのかもしれない。
そして、おそらく、イデオロギーや軍事力という「磁場」に代わる新しい「磁場」は「地球環境」であろう。
こういった「無秩序」に近い、「無極化(ノンポラリティ)の時代」は、一見、不安定な時代の予兆に見えるが、実は、いままで人類が有史来、実現できなかった、安定的で持続的な世界へのパラダイムシフトの階と考えることもできようか。
