国家主権をソヴリン(Sovereign)と言うが、はたしていまの日本にソヴリンはあるのか。
あまり、周知でもないが、先日お亡くなりになった宮沢喜一に遺産の1つに、1993年のクリントンとの日米首脳会議で約束した日米相互で毎年お互いの改革要望を交換することの合意がある。ここではあくまで「双方からの要望の交換」と言っているが、どうやら米国からの一方的な要望が勝っている気がしてならない。
2001年に「日米規制改革および競争政策イニシアティブ(規制改革イニシアティブ)」が、新たなビジネス機会の創出、競争の強化、ならびにビジネス環境全般の改善によって経済成長を促進することを目的として設置された。そしてこの「成長のための日米経済パートナーシップ」のもと、両政府は「年次要望書」を交換し、作業部会および上級会合を経て、進展の概要を説明するために両国首脳への年次報告書を作成することになっている。
どうやらこれって卑近な例で言えば、会社にサラリーマンが半期に一度提出する「目標」のようなものである。そして上司から今期はこのようなことをしなさいとか、数字はここまで目指しなさいとか、手取り足取り具体的な指示を受ける仕組みに似ている。しかし会社内であれば、その帰属する会社の利益極大化という共通の目標に向けての組織としての合理的なイニシアティブの仕組みであるが、これが国家間だと妙な話になる。ある国の政府が地方自治体に一定のルールや目標を示達するのは国によってはありうるが、国が別の独立国にそこまで指示するのは内政干渉も好いところで、まさに基本的人権侵害ならず、基本的国家主権侵害である。まさにソヴリン(Sovereign)侵害である。この信じられないような、傲慢で一方的な仕組みが上記の「年次要望書」を交換で、「要望」とか「交換」とは名ばかりで、要は実質的に問答無用の強要に近いと指摘する論調もある。
同イニシアティブの下、昨年2006年12月には6回目となる報告書が出されている。
ここには、電気通信、情報技術、知的財産権、医療機器・医薬品、金融サービス、農業、競争政策、透明性、司法制度改革、商法、ならびに流通などの主要分野で日本が講じている重要な措置が列記されている。とりわけ、本報告書に記載されている進展はビジネス障壁の低減、透明性の向上、輸入手続きの簡素化、規制に関する決定の迅速化に寄与するであろうと付記されている。これらの措置が経済成長を促進しつつ消費者や企業に恩恵をもたらすこと、この先日本が引き続き規制改革に向け措置を強化することは重要であると述べている。
今年の12月に出るであろう7回目の報告書の内容ははたしてどのようなものであろうか。
【日米規制改革および競争政策イニシアティブ(規制改革イニシアティブ)に基づく日本国政府に対する米国政府要望書】
http://tokyo.usembassy.gov/pdfs/wwwfj-20061205-regref.pdf
【日米間の規制改革及び競争政策イニシアティブに関する日米両首脳への第6回報告書
同ファクトシート】