引退 北嶋秀朗
北嶋が引退を発表して約2ヶ月、俺の気持ちも落ち着いたし(笑)、セカンドキャリアのスタートが、ロアッソ熊本のトップコーチ&育成コーチ兼任というのも決まったこともあって、キタジについてゆっくり書いてみたいと思う。(長いよ~)
まずキタジに伝えたいこと、それは「感謝」の言葉以外思い浮かばない。すごくありきたりな言葉だけど、いろんな面で本当に感謝している。
キタジと過ごした約1年半、それまでの16年半のプロ生活を遥かに超えるくらい、サッカーについて語り合った。時には人生そのものについて語ることもあったし、時にはくだらない話もしたけど、ほとんどがサッカーについて…だった。チームのこと、戦術のこと、選手のこと、会社のこと、2人の感じることをぶつけ合って、思うがままに語り合った。
とにかく、キタジとは価値観が似ていて、意見が分かれることがほとんどない。お互いの意見を尊重し合っていることもあるが、「そうそう」「そうだよね」ってことがたくさんあった。
俺がキタジに一番教わったことは、勝者のメンタリティーとは?という部分。俺は優勝もしたことないし、常勝軍団にいたこともない。長くサッカーはやっているけど、勝つことへの拘りだったり、プロとしてのメンタリティーに関しては、キタジの方が数段格上だった。キタジにとっては苦い経験だったかもしれないけど、ネルシーニョ監督との出会いというのは、スゴく大きな意味があるように感じて、特にメンタリティーの部分については、圧巻とも思えるエピソードも数多くあって、その影響は大きかったんだなぁと。
サッカーのコアな部分に対しても、とにかく要求が高く(当たり前の部分なんだけどね)、妥協しない。どんな状況でも振る舞いは変わらず、サッカーに対して真正面からぶつかっていくその姿っていうのは、尊敬に値する。真似できないところもたくさんあって、どちらが正解不正解はないけれど、キタジが示したものが正解なんじゃないかなって、そう思わせる考え方、立ち振る舞いが好きだった。
あと俺が好きなのは、”よいしょ”しないところ。俺が悪いときは悪いって言ってくれるし、そうじゃない時はきちっとフォローしてくれる。それはプレーだけじゃなくて、俺の振る舞いであったり、言動であったりもそう。ハッキリと諭してくれるところが有難かった。言い方を変えれば、裏表がないところが、一緒にいて心地よかった。
若手に対しての接し方も、俺とは違って、厳しいけど優しい...みたいな雰囲気が出てて、そりゃ若手の選手も慕うわなって、ちょっと嫉妬するくらい上手かった。来期ロアッソ熊本のアシスタントコーチをしてくれることになったけど、若い選手にとったら、これほど信頼できるコーチはいないと思う。まだコーチとしての実績は何一つないけど、確信をもって言える。間違いなく、素晴らしいコーチになる!と。
引退後の自分の身の置き場所をどうするのか?レイソルに戻るのか、ロアッソに残るのか。自分の夢、家族のこと、これからやりたい事、北嶋秀朗という価値を考えたときに、まず何をするべきなのか、悩んで、悩んで、悩んで、悩みまくって、最後はロアッソを選ぶことになったけど、その間の葛藤は一緒にいて苦しいくらい、本当に悩んでいた。あと数年、俺がロアッソでプレーする上で、キタジがコーチとして居てくれたらどんなに嬉しいか。でも、長い目で見たときにはどちらが正しいのかなって。それは数年後のキタジを見てみないと正直分からないけど、どんなところでもキタジらしく生きていくだろうし、その存在はサッカー界において大きな意味を持つことは間違いない。キタジが選んだ道を尊重して、ずーっと応援していきたいと思う。
9割本気で、1割は冗談のようにいつも言うんだけど、(いや、100%本気かな。。。)俺が監督で、キタジがヘッドコーチ、雄太がGKコーチっていう夢が、いつか本当に叶う日が来たら、そりゃ楽しいだろうね。蔵川はフィジカルコーチで!って言ってたけど(笑)
そんな事を夢見ながら、これから選手以上に、どっぷりサッカー漬けの毎日を送ることになるであろうコーチ業を、キタジらしく、真っ直ぐにやり抜いて欲しいと思う。厳しく優しい、選手時代と変わらぬ接し方で、若い選手の尻をしっかり叩いてやって欲しい。時々俺も…。(苦笑)
17年間、あの膝で、あの体で、本当によくやったと思う。本人が悔いなし!と公言してるほど、やり切ったサッカー人生だったことは、同じ選手としては羨ましい限り。キタジのサッカーに対する想い、情熱という部分は、レイソルの工藤選手のように、残された選手たちがしっかりと継承していかなければいけない。俺も、その一人だと自覚している。
ランチタイムのサッカー談義ができないことが本当に残念だけど、選手、コーチという立場で、これからはピッチ上で、変わらずサッカー談義できればなって思う。
キタジ、17年間お疲れ様。本当にありがとう!
そして、来期はご指導のほど、宜しくお願い致します(笑)