院内感染。
おそらくどの病院でも、毎日のように起こっていることだろう。
ウイルスはとんでもなく小さいし、発症していなくてもウイルスを持っている人が知らないうちにばら撒いていたりする。
院内で感染を完全に抑えることは難しいだろう。
頭では分かるのだ。
分かるのだが、とてももどかしいし、とても悔しい。
私の祖父は院内感染で亡くなった。
小学校3年生の頃だったと思う。
「おじいちゃんは、別の病気で入院したんだけど、院内感染、っていって、病院の中で病気をうつされて、それで死んだ」
といったことを母から聞かされた。
信じられなかった。
そんなことが許されるのか?とひどく憤ったことを覚えている。
また夫の祖父も、一昨年に院内感染で亡くなった。
これは私達の家族だけではなく、日本中、どこででも起きていることだろう。
とても残酷だが、世間的には「ありふれたこと」なのかもしれない。
だけど他でもない愛する我が子が、
院内感染で実際に命を落としたら、
私はどうしたって納得できないだろう。
娘がB大学病院に入院したころ、感染症について聞いた。
「気をつけていても、起こる時は起こる。去年は抗がん剤治療中に、感染症で2人が亡くなった。」と先生は答えた。
免疫がボロボロの状態だと、
普通の子供が2日くらいでケロッと治るような感染症で、本当に死んでしまうらしい…。
私と夫は2人してショックを受けた。
2クール目の2週目が始まってすぐのこと。
娘が接触した可能性がある病院内の人(誰かは伏せられていた)がインフルエンザを発症したらしく、娘は接触者として他の患者から隔離されることになった。
マスクをつけて接触していたのか、個室での完全な隔離ではなく、大部屋のままで隔離処置となった。
トイレとシャワー以外は大部屋のカーテンの中に常にいるように言われた。
病院側の対応は、「ウイルスを持っているかもしれない娘」から「他の患者」を守ろうとしている。
分かる。
病院としては当然そうすべきだろう。
だけどやっぱり気持ちがいいものではなかった。
娘にどう説明しよう…と思った。