退院に向けた指導が始まった。
C大学病院に入院するまで、3泊4日を病院外で過ごす。
初めての外泊だ。
娘の胸からは点滴ができるカテーテルが2本出ている。
B大学病院ではこれに毎日、シリンジでヘパリン生食を通すようにしている。
ヘパリンロックという。
外泊中はこれを私がやることになる。
早速看護師さんに教えてもらい、まずは模型で練習を重ねる。
針の先の清潔を保つために触らないこと、
シリンジ内の空気を事前に追い出すこと
針を刺したらまずは血が引けることを確認すること
これが私にとってのポイントだった。
娘の血管に私が液を注入する。
間違ったら大変だ。
模型で何回も練習をした。
OKが出て以降は、毎日のヘパリンロックを看護師さんに代わってやらせてもらった。
完璧に習得できたと思う。
あとは胸のカテーテルと腎ろうのカテーテルの固定テープの練習だ。
外泊中、テープが外れたり、カテーテル自体が外れたりしたときに応急処置をしなければいけない。
テープ交換についてはヘパリンロックと同様に模型で練習し、
OKが出ると娘の実際のテープ交換でやってみる。
娘は私がテープを貼る方が気を許せるようだった。
体の向きを変えたり、首を上げたりとよく協力してくれるので、楽に張り替えられた。
これも、きっと大丈夫だ。
絶対にあって欲しくないが、
カテーテル自体が抜けた時。
これはもう病院に駆け込むしかない。
自宅であればB大学病院だが、
新幹線移動を始めると、C大学病院に駆け込んだ方がいいだろう。
病院に向かう間はガーゼなどで圧迫するしかないだろうが、どの程度血液や尿が出てくるかわからない。
とりあえず滅菌ガーゼをたくさん備えることにした。
外泊中に必要なものの準備には時間がかかった。
テープ交換に必要なもの一式、
シャワーを浴びるための防水テープ、
あと体拭き用の温められるシート、
グローブやアルコール綿もいるだろう。
これもあった方がいいかも、あれもこれも、とどんどん増えていったのだ。
なにごともなく移動期間を過ごせますように、
と祈るばかりだった。