私と夫には、母親がそれぞれいる。


どこにでもいる、孫思いのおばあちゃんだ。


今回、母達は私たちよりよっぽど、娘の病気の知らせに参っているようだった。



母達がショックを受けるだろうと思い、

夫と私は娘が高リスクであることや、5年生存率のことは話さなかった。


だけど、もしかしたらネットの情報などで、

娘の病気が楽観的ではいられないことを知ってしまったのかもしれない。



母達はしばらく泣いて過ごしていたらしい。



そして私の母は信じられないことに、

孫の病気について自分に責任があると思ったらしかった。


「チェルノブイリ原発事故のとき、近くにいたから…」


本気でそう思っているらしい。


父と母は確かにこの原発事故のとき、ヨーロッパに住んでいた。


しかし、北欧、スウェーデンである。

事故の場所から海すら挟んでいる。


スウェーデンにいた母が、

孫にがんをもたらすほどの被曝をしていたとすると、その間にある国の人間はどうなるんだろう。


それに父と母、私たち兄弟にもなにも影響出ていないのだ。


落ち着いて欲しい。



だけど、母も責められない。

母が、母の中に娘の病気の原因を探すには理由があると思う。


母の実家は農村だ。

あそこの人達は独特の雰囲気がある。


狭い村なので、どこかに病気があるとすぐに広まる。


そして「どこどこの血がいかん」「〇〇がいかんやった」とかいう、医学的に全く根拠がない議論をして、それが事実であるかのように噂になるらしい。


母は、母の故郷の人はきっとこう考える、とか

娘の病気をすぐには母の兄弟達には言えないと言っていた。


呪いみたいだ、と思った。



母の故郷のこういうところについては、

昔からどうしても好きになれない。