再び、佐藤先生のところに戻ってきた。



エコーやレントゲンの結果をみて、


「水腎症…?腫瘍…?え、嘘でしょ」

と先生はまず言った。



それから

「確かにあるな…」

「僕もエコーしてみるから、45分後にまた来て」


と言った。




あれ?なんか、思ってたのと違う。


「心配ないですよー」と帰されるつもりだったのに。


便秘じゃないの?


だからエコーもレントゲンも長くて、なんか人が多かったんだ…


腫瘍ってがんのことだよね…



全くついていけない。



なんとなく待合室で待つことがつらい気がして、


行きに通った大きな公園に娘を連れて行くことにした。




娘は初めて来た大きな公園に大はしゃぎした。


土の上を走り回って、アスレチックによじ登って、滑り台を滑る。


「ママー!こっちだよー!」


と私に大きく手を振る。




こんなエネルギーに溢れた娘が、

私のかわいい娘が


がんかもしれないんだ


信じられない。

信じられないはずなのに、涙が出た。


娘の楽しそうな顔を見ると止まらなくなった。



真昼間の公園で、

はしゃぐ子どもを連れた母親がハンカチで涙を拭っている。


それはひどく滑稽な光景だろうと思って、他の子連れから少し離れて立つことにした。




あっという間に病院に戻る時間になってしまった。


まだ遊びたい娘に


「ごめんね、先生とお約束があるから」

「帰りにまた来ようね」


と約束して病院に戻った。



すぐに佐藤先生にもエコーをしてもらう。


エコーをする先生は次第に深刻そうな顔になっていく。



「これは腫瘍だろう。そう、がんのこと」 


「すぐに別の大きな病院に行ってもらう」


「ここから近い大学病院と、遠いけど、小児科と小児外科がうまく連携してるおすすめの大学病院があるけどどっちがいいかな」


「だけどこれは、遠いところの方がいいな、しっかり診てもらった方がいい」



そう矢継ぎ早に言って、その場でその大学病院の先生に電話をして当日の受診を取り付けてくれた。




「紹介状をこれから書くから、30分後に取りに来て」


「どうやって行く?車は取りに戻る時間はないよ。この駅まで電車で行って、タクシーに乗った方がいい。自転車はここに置いてていいから。」


「高確率で今日から入院になる。お父さんやおじいちゃんおばあちゃんはいる?すぐ連絡して」


「紹介状を書く間になにかご飯食べててね」



処理できない。


だけど、娘は高確率でがんらしくて、今日から入院になるらしい。


だから大きな病院に急いで連れて行くらしい。



上の息子はどうしたらいい?


お昼ご飯を食べずに待っているだろうに。



まずは上の息子をみてくれている義母、

それから夫、


最後に午後からも休むために会社の上司に続けて電話をした。