今日から月曜日。師走、ですね。
妹以上に親を憎んでいるのは、実は兄のほうだった。
数々の親の酷い仕打ちに耐え続け、妹の面倒も見続けた、真面目で心優しい青年。
何かの拍子にこの優しい青年のタガがはずれたとき、だれも予想だにしない悲劇が巻き起こる可能性は少なくはない。
心の奥底に潜んだ、親への憎しみ。これを、ここに暴き出したいと思います。
俺の母親は、いつもすべてを俺のせいにした。
俺のためにやった、俺がそうしたがってた、俺がそうしろといった。
何もかもを、すべて俺のせいにした。
俺は、なんでこんな女が自分の親なのか。悩みつづけた。
俺は、なにか悪いことをしたんだろうか。
俺が何かをするたびに、母親が口出ししてきた。
俺のためだといいつつ、自分の都合のいいように、物事をすり替えていった。
俺はその度に、鋭い刃を自分の中にためこんでいった。
めしを作らない、洗濯をしない、掃除もしない。じゃあ、あんた一体何してやがるんだ。
子どもに服も買ってやらない、おやつも買ってやらない、食事にも連れてってやらない。
じゃあ、あんた一体俺の稼いだ金を何に使ってやがるんだ。
必要な事以外、会話をすることを許さない。
自分と違う意見をいうことを許さない。
あんた、一体何様だ。
おかげで親父は犬みたいな男になった。
わずかな小遣いでちまちま遊び、めし、めしと犬みたいにめしをねだり、破れた服を平気で着るような、捨て犬みたいな男になった。
俺はさんざん言われた。親がつまんねえから、お前がつまんないんだ。
お前の親は最悪だな。親と縁切ったらどうだ。
俺は、できることならそうしたい。何度思ったか。
こんな親は自分の親じゃない。何度そう思いたかったか。
そして、何度か家出をして、このままどこかへ消えてしまいたい。何度そう思ったか。
最後に、いつも親父の捨て犬みてえな情けない顔が浮かんだ。
あんたにだけは、負けたくない。俺はそう思った。
そう思って、また、引き返した。
俺が幸せになることが、あんたへの最大の仕返しだ。
あんたは、もう負けたんだ。
あんたに残っているものは、その腐った肉体と、ただ生きてるだけの心臓だ。
血のつながった息子は、何でも許してくれる。それが、あんたの一番不幸な妄想だ。
こんなもんでいいんじゃないでしょうか。
血のつながった子どもを持つ。これは、人によっては、不幸の引き金になってしまうということですね。
憎しみの刃は、これで、溶けていくでしょう。
血がつながった親子といえども、人として、最低限のルールとマナーを守る必要があります。
それなくして、健全な人間関係は成り立ちませんね。
結婚して、別の人と共に暮らし、人としてのマナーやルールを教えていってもらったことでしょう。
これからは、閉じ込められていた心を、自由に遊ばせて、いろんな人と心のやりとりをしていってほしいと思います。
「恋ごころ」 小柳ルミ子
妹以上に親を憎んでいるのは、実は兄のほうだった。
数々の親の酷い仕打ちに耐え続け、妹の面倒も見続けた、真面目で心優しい青年。
何かの拍子にこの優しい青年のタガがはずれたとき、だれも予想だにしない悲劇が巻き起こる可能性は少なくはない。
心の奥底に潜んだ、親への憎しみ。これを、ここに暴き出したいと思います。
俺の母親は、いつもすべてを俺のせいにした。
俺のためにやった、俺がそうしたがってた、俺がそうしろといった。
何もかもを、すべて俺のせいにした。
俺は、なんでこんな女が自分の親なのか。悩みつづけた。
俺は、なにか悪いことをしたんだろうか。
俺が何かをするたびに、母親が口出ししてきた。
俺のためだといいつつ、自分の都合のいいように、物事をすり替えていった。
俺はその度に、鋭い刃を自分の中にためこんでいった。
めしを作らない、洗濯をしない、掃除もしない。じゃあ、あんた一体何してやがるんだ。
子どもに服も買ってやらない、おやつも買ってやらない、食事にも連れてってやらない。
じゃあ、あんた一体俺の稼いだ金を何に使ってやがるんだ。
必要な事以外、会話をすることを許さない。
自分と違う意見をいうことを許さない。
あんた、一体何様だ。
おかげで親父は犬みたいな男になった。
わずかな小遣いでちまちま遊び、めし、めしと犬みたいにめしをねだり、破れた服を平気で着るような、捨て犬みたいな男になった。
俺はさんざん言われた。親がつまんねえから、お前がつまんないんだ。
お前の親は最悪だな。親と縁切ったらどうだ。
俺は、できることならそうしたい。何度思ったか。
こんな親は自分の親じゃない。何度そう思いたかったか。
そして、何度か家出をして、このままどこかへ消えてしまいたい。何度そう思ったか。
最後に、いつも親父の捨て犬みてえな情けない顔が浮かんだ。
あんたにだけは、負けたくない。俺はそう思った。
そう思って、また、引き返した。
俺が幸せになることが、あんたへの最大の仕返しだ。
あんたは、もう負けたんだ。
あんたに残っているものは、その腐った肉体と、ただ生きてるだけの心臓だ。
血のつながった息子は、何でも許してくれる。それが、あんたの一番不幸な妄想だ。
こんなもんでいいんじゃないでしょうか。
血のつながった子どもを持つ。これは、人によっては、不幸の引き金になってしまうということですね。
憎しみの刃は、これで、溶けていくでしょう。
血がつながった親子といえども、人として、最低限のルールとマナーを守る必要があります。
それなくして、健全な人間関係は成り立ちませんね。
結婚して、別の人と共に暮らし、人としてのマナーやルールを教えていってもらったことでしょう。
これからは、閉じ込められていた心を、自由に遊ばせて、いろんな人と心のやりとりをしていってほしいと思います。
「恋ごころ」 小柳ルミ子