BL妄想

じゅんがこの島をでてから
5年…
医者になるなら
もっと都会にでて勉強するのが
いちばんかもしれないが
俺はこの島を絶対に
離れたくなかった
松本先生の後任に来た先生は
近藤先生といって
潤の病気のことも
全て知ってて
松本先生の後輩で
家族ぐるみのお付き合いの
ある人だったから…
俺と潤のこともよくわかってくれて…
俺を医者の卵…本当はまだまだ
猫の手にもなってないが
『先生』として
雇ってくれていた
櫻井先生もう今日は終わりに
しましょう
でもまだ片付けが終わってません
奥の片付けもあるし…
ほらうちの奥さんが櫻井先生を
邪魔にしてるよ
ここをなるべく早く明け渡すんだから…
翔くんあっ…櫻井先生
もう行ってください
あとは私にさせて…もう邪魔よ
そう言ってとても温かな顔に
俺の顔も緩んだ
ありがとうございます
じゃ行ってきます
今日の海はいつも以上に
穏やかだよ〜
先生が何か言ってたけど
病院を出た俺は
駆け出していた
こんなに早く走ったことがないぐらいに
走って…走って…いった
砂浜に着くと
風でつばの広いハットが
足元に飛んできた
それを拾い持ち主のところへ
近づき
帽子…ちゃんと被ってないと…
今日は穏やかだっていってたけど…
そんなにはあはあ息切らして
大丈夫?
帽子被せてくれる
しょおくん
じゅん
おかえり
愛しているよ
俺もしょおくんに逢いたくて
逢いたくて
やっとやっと逢えた
もうどこへも行くな
ずっと俺のそばにいてくれ
じゅんの手を取り腰を引き寄せ
何度も何度も唇を重ねた
愛しい人
俺の恋人
THE END