BL妄想
自分の手の甲が濡れて
泣いているんだと感じた
今は翔くんに逢いたくない
翔くんが部屋に戻ってくる前に
帰ろう
あとでLINEでお腹痛くなったって
言えばいい
はやくこの部屋から出よう
階段を降りドアを開けようとした時
「潤…どうした
帰るのか?どこか痛いの
潤…潤待てよ
なんで泣いてるんだよ」
「は…なして…翔くんと距離
おきたい
俺わかんないんだよ
なんかおかしいんだ
翔くんのこと…好きなんだと
思う…だけど…どうしたら
いいのかわかんないんだよ」
「わかった…潤の好きにしたら
いいよ」
翔くんはそんな俺を
引き止めるわけでも突き放す
わけでもなく
優しく頭をぽんぽんってして
「おやすみ」
っていった
もちろん学校であっても
前は潤って声掛けてくれて
走って側にいてくれたけど…
俺を見るわけでもなく
行きも帰りも別々
部活でも練習メニューは
別にしていたから
近くにいてもとっても
遠かった
そんな時
智くんとまぁが
「潤くん知ってると思うけど…
翔くんイギリスに帰るって…」
「どうやら今夜急に出発だからって
さっき早退していったぞ」
「そう…なんだ…なんにも
教えてもらってない
別にいいんじゃない
俺には関係ないから
カズ…授業始まるから
教室に帰ろうぜ」
「潤くんいいの」
「いいんだよ…翔くんの勝手に
すればいいんだよ」
「もう逢えないかもしれないよ」
「うっ…さいなぁ
もうほっといてよ」
カズは心配して言ってくれてる
智くんもまぁもそれなのに
俺は…だって
どうしようもないじゃん
翔くんがイギリスに
行くのにどうしようも出来ないよ
授業が始まって
10分…20分…とすぎていった
突然
「先生…松本くんの顔色悪いです
保健室
いや早退した方が良いかも
しれないです
あっーなんかだんだん変な
汗も出てきた
変な病気にかかってるかも
知れません
周りの人移っちゃうかも知れません
先生早く…俺ついて行きます」
「そうか…なら二宮頼むな」
「はい!わかりました
松本くん早く帰ろう」
「俺ぐあ…」
「あー松本くん大丈夫
しっかりして
俺に掴まってー」
カズの小芝居に付き合わされて
「俺具合なんて悪くないよ」
「潤くん…ちょっとは自分の気持ちに
素直になっても
いいんじゃない
ここんとこ翔くんと距離おいて
笑顔が無くなって
辛いのはこっちも同じだよ
潤くんは翔くんが好きなんでしょ
相手がたまたま
同性ってだけでしょ
今どきそんなの関係ないでしょ
大切なのは
お互いの気持ちなんじゃないの」
「カズ…俺翔くんが…」
「早く行きな…ちゃんと翔くんに
伝えなくちゃ」
「カズ…ありがとう」
あーあ潤くん行っちゃったよ
このまま翔くん行かせて
俺が潤くんに告るって思ってたのに…
でも潤くんが幸せなら
それでいっか…