BL妄想
翔くんが転校してきて
いつも翔くんの周りは
男女関係なく人だかりが
出来ていた
そんな時でも翔くんは
俺を見つけると
“潤”と言って俺の隣を
歩いてくれる
幼い時近所のうるさい犬が
俺を見るといつも吠えていて
俺はそこから犬が
苦手になっていたけど
翔くんが「待て」って言うと
吠えていた犬さえも静かになって
翔くんはもしかしたら
魔法が使えるんじゃないかって
思った時もあった
道を歩くときも必ず
車道側に歩いて
兄のような
俺を守ってくれるナイトの様な
翔くんは今でもそれは一緒だった
部活は水曜日以外は毎日あって
一緒にしてるとよくわかるけど
翔くんはかなり
レベルは上
こんなへっぽこチームに
いるのが
勿体ないくらい
上手だった
みんな翔くんについて行くのが
精一杯
でも翔くんの教えてくれる
技術にみんなは刺激されて
チームのムードは
とても良かった
今日は部活が休みの水曜日
翔くんの部屋に行って
日本語の勉強の日にしてるけど…
俺が教える必要が
ないほど翔くんはいろいろ
わかってるのに…
たぶん俺との時間を作るために
言ってるんだなって
わかっていながら今日も
翔くんの部屋に来ていた
あれから翔くんは俺に
触れることもなく
話すことはほとんどサッカーの事
翔くんがイギリスにいて
その生活に触れることも
俺と翔くんがこの先どうするか
なんの進展もなかった
俺を恋愛対象としてるって言ってた
でもそんな話も仕草も
なくて
俺は翔くんに遊ばれてるのか
よくわからない
気持のままだった
そんな時翔くんが
「潤…海外に興味ある?」
「そりゃ…海外旅行にも
行ったことないからいつか
行ってみたいとは思ってるよ」
「そうかならどんな所か
友達が撮ったのがあるから
観ててよ
喉乾いたから飲み物とって
来るから…」
そう言って翔くんの
中学時代の
なにかのパーティなのかな?
観せてくれた
やっぱり翔くんの周りには
男女問わずたくさん人がいて
その中のひとりの人から
目が離せなかった
とても綺麗な人だった
ずっと翔くんの隣にいた
そのうち部屋の隅に
小さくだけど
2人が映っていて
2人の影が重なった
そして2人は手を繋いで階段を
登って行った
俺にだってわかるこの後
2人に何があったのか
勝手に涙が溢れた