歌壇最高峰とされる賞を受賞した歌集"未来のサイズ"から3年
短歌を始めて約四十年経ち還暦を過ぎた俵さんの現在地とは?
一昨年春に息子が大学に進み、秋には6年半暮らした宮崎から
高齢となった両親のそばで暮らすために仙台に移り住んだ
白い娘と黒い娘がおりましてどちらが出るか日替わりランチ
切り札のように出される死のカード私も一枚持っているけれど
歳を重ね自身の病も歌のテーマに
放射線からだに降らすこの春の白湯と桜の日々いつくしむ
二人に一人は癌の時代と聞きながらならないほうと思っておりぬ
再び恋の歌も その年齢でしか見えない景色がある
二人掛けの席に二人で座るときどんな二人に見えるのだろう
色づいてはじめて気づく木のようにいつも静かにそこにいる人
そしてAIが瞬時に百首もの短歌を生成する様子を目の辺りにして
ゼロから言葉を生み出すことは人間にしかできないと
言葉から言葉つむがずテーブルにアボガドの種芽吹くのを待つ
そして一番の私のお気に入りは
優しさにひとつ気がつく✖でなく〇で必ず終わる日本語
心の揺れに立ちどまり言葉を探していけば
短歌 も 俳句も 詠めるのだと
素敵な一冊です ぜひ💛