じっと手を見る

窪 美澄

 

富士山とショッピングモールしかない地方の街に住む

介護士の男女のストーリー

介護士になれば少なくとも食べていけると考えている海斗

幼いころ 両親が亡くなり 祖父に育てられた日奈

その祖父もなくなり

近所の子供たちには 幽霊屋敷と言われる家で

祖父亡き後も 住んでいる

 

『……親父たちはまだ夢見られたよな、ぎりぎり。

俺たちには、それすら許されない。

失敗したら絶対に浮き上がれない。そういうめぐりあわせで生まれてきたんだ』

 

「老いて死に向かっていく人の面倒をみること。

それをして、私は自分の生を持続させている」

〚不幸の種類はひとつだけれど 幸せは 種々多様なの』

 

登場人物たちはこんな台詞をさらっと言う

高齢化とデフレと人口減少で日本社会はもう縮小するしかないとか

これからは撤退戦だとか言われている時代の

若者たちの

リアルな声に聞こえる

 

日奈に好きな人ができても どうしても日奈を手放せない海斗

日奈が突然いなくなり、 同僚の バツイチの畑中との仲を深めていく

お互いの相手は すべてワケあり

崩れかけた人に 吸い寄せられるように 二人は 相手を見つける

 

貧しさが貧しさを加速させていく

夢さえも持てない

壮大な富士山と  ふもとにある樹海

生と死の狭間で もがく若者

 

じっと手をみる

そのタイトルがすべてを物語っています

 

 

たとえ食べていける仕事であっても

過酷すぎて 自分の体が 30歳 まで耐えられないと

やめていく介護士仲間も多い

これも 一つの問題です

 

ぜひ笑

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