上手な小児科のかかり方について | チイク - 知育協会 公式ブログ

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こんにちは、理事の吉松です。
今回、上手な小児科のかかり方というテーマをいただきました。私なりに「上手にかかるとは何ぞや?」と考えましたところ、「その時々の状況に応じて希望のスタイルで診察を受けられている事が上手に受診していることなのでは??」という考えが浮かびました。
例えば、症状が軽いなどあまり心配ない場合は、忙しいのでなるべく短い時間ですませたいものです。逆に心配事がある時はじっくり診察してもらって、心配事を全て相談してから帰りたいと思います。
私は、その時々の希望通りに診察を受けていかれる方が上手に小児科にかかってらっしゃる方だと思いました。

では、実際にどうするの?と問われますと、一番は 「ご自分に合うかかりつけの小児科医を捜し、ずけずけと自分の希望を言えるような信頼関係を築くこと」 です。
これは難しいかもしれません。近隣にご自身に合った小児科医がいるとはかぎりませんし、合う先生が見つかっても大変混雑していて、ゆっくり相談も出来ない雰囲気かもしれません。
はじめてのお子様で、お子様がまだ0歳児のご家族は、受診する機会が健診や予防接種だけの事が多いかと思います。ですので、ご自分に合う先生なのかもわかりにくいでしょうし、気軽に相談することも難しいかもしれません。
しかし、もし小児科を受診する際に心配事があった場合は、ぜひ気軽に何でも相談してみて下さい。もし、後日でも構わない相談でゆっくりと相談したいけれども、とても混雑している場合は「後日でも良いので、ゆっくり相談したいことがあるがどのタイミングで受診したら良いか?」と聞いてみて下さい。
相談にのってもらったり、いろいろなお話をしているうちに、きっとご自身に合う小児科医が見つかると思いますし、信頼関係も築けると思います。

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ここからは、少しテーマからはそれますが、受診する際に、付き添いのご家族にお願いしたい事がございますので、そのお話をしたいと思います。

診察室に入ってお子様を診察する時、聴診器で呼吸の音や心臓の音、お腹の音を聴いたりします。聴診中、お子様がお喋りしていたり、泣いていると、特に肺や気管支から聞こえる異常な音などがとても聴き取りにくくなります。ですので、小児科医はなるべく泣かないで診察を終えられるように努力しております。診察に慣れていらっしゃるご家族は、聴こえにくくなることをご存知でいらっしゃって、静かにするようにお話ししてくださったり、泣き止むようにあやしたりして協力してくださいます。それは、本当に助かります。今後もぜひ、ご協力お願い致します。

ただ、あやす方法の中で、お胸やお背中をトントンすることと、膝の上で揺らすことは避けて頂きたいのです。
というのも、落ち着かせようとお胸をトントンすると聴診器には大音量でそのトントン音が聴こえてしまい、大事な音が聴き取りづらくなってしまいます。お膝の上で上下にゆらしてしまっても、聴診器までゆれてしまい、やはり音が聴き取りづらくなってしまいます。
聴診だけではなく予防接種などの注射でもトントンやゆらしながらの抱っこは接種位置がずれてしまったり、固定している腕が揺れてしまったりしますので、安全な接種の妨げになってしまいます。小児科医のお願いその1は 「お胸やお背中トントンと揺らす抱っこは診察や予防接種などの注射が終わるまでお待ち下さい」 です。

聴診器で聴診している時は、外の音が聞こえにくくなります。ですので、聴診中、ご家族に話しかけられても聞こえづらいため、話しかけられていることに気づかない時が多々あります。聴診中は、聴診器で異常な音が聞こえないかなど集中して聴いております。小児科医のお願いその2は 「聴診中にハッと思いついたことは、聴診が終わってからじっくりお伺いいたしますので、聴診が終わるまで少々お待ち下さい。」 です。

以前の小児科ではウイルス性の風邪でも二次感染の予防という名目で抗生剤を処方しておりました。抗生剤を多用したことにより、抗生剤の効かない強い細菌が出現してきました。最近ではウイルス感染には抗生剤は効果がありませんので、ウイルス感染による風邪の場合には抗生剤を処方することはなくなりました。(抗生剤が効くマイコプラズマ感染症や溶連菌感染症、とびひなどに代表される細菌感染やその疑いの場合はもちろん今でも処方します。)
最近はご理解していただける方が増えて少なくなってきましたが、念のためや不必要な場合にも処方を希望される方が中にはいらっしゃいます。もちろん、抗生剤の投与が必要な方には処方しますが、念のためや不必要な場合には使用しない方が良いです。
不必要な抗生剤の使用は耐性菌(抗生剤が効きにくくなった菌)を増やし、そして、その耐性菌に感染してしまえば抗生剤が効かずに死亡してしまう場合もあります。小児科医のお願いその3は 「抗生剤は必要がある場合のみに処方しますということとその理由を一人でも多くの方にご理解いただきたい。」 です。

小児科にかかられる際に頭のすみにでも思い出していただけると有り難いと思います。





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知育協会理事
吉松 薫子


小児科医の視点で医学的に知育を研究
杏林大学医学部卒業。小児科医として勤務をしているかたわら、2歳となる愛娘を子育てしているママドクター。
小児科医という専門性を生かした立場から知育の情報を配信。


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