乾いた空気の中

沈む夕陽を見ていた
獅子とわたし

花の咲かない
乾いた大地


水辺など
あるわけもなく


敵もなく

味方もいない


私の中の
わたし以外は

幸せしかない世界から

獅子は私を下界に突き落とす


"お前の役目があるのだ"と


下界に落ちた私は
記憶を失い

痛み

苦しみ

哀しみ

孤独を味わい


喜び

愛しさ

慈しみ

尊い
「感情」

というものを
手に入れた



長い夢から覚めた私は

ときおり

優しい瞳をした
大きな獅子を思い出す

あの獅子も

私を想うことが

あるだろうか


父親のように
不器用な愛が


そこに
あるのだろうか



私はいつか

あなたに
あえるだろうか