妄想BLですよ







おじさんのことが忘れられなくて

夏の終わりになると

自然と足が向く


自然と…と言ったって

わざわざ休みをとって

飛行機を手配してるから

全然、自然じゃないんだけど…


心はいつもおじさんでいっぱいで

会いたい一心で

こんな遠くの島まで来られるんだ



もうあれから4年以上経った


今年はね、夏の終わりじゃなくて

夏の始まりに…


もう今年で諦めるつもりで

長い休暇を取ったんだ



この場所に来るたび

今日は会えるかも…っていう期待と

会ったらどうしよう…っていう緊張と

またあんなことになったら…って

いう妄想で恥ずかしくてたまらない



おじさん、どこにいるんだろう…

もうこの島にはいないのかもしれない


僕はこの場所が好きなんだよ

この場所は、僕の気持ちと同じで

あの時と何も変わらない





そういえば2年前の夏に一度

変なおじさんが来たんだ








「おっ!何やってるんだ?」


…なに?


「お前に聞いてるんだよ」


おじさんが隣に座る


日焼けした顔に髭

腕にタトゥーもはいってる


ガラが悪いおじさん?

よく言えば精悍なおじさん? 


怖い感じはしないけど

僕は生理的に受け付けないタイプだ



「あなたに答える必要ないですよね」


知らないおじさんに

恋するおじさんを待ってるだなんて

言えない


「…そっか…そうだよな」


視線を落とし

なんだか寂しそうに見えた


「あ…」


答えてあげればよかったかな…って

思った瞬間に

肩をぐいっと引き寄せられ


「いつか会えるといいな…」


そう言い残して

街の方へ去っていった


「なんだアイツ…」




……いつか会えるといいな…


「!?」


僕は人を待ってるだなんて

言ってないのに

どうしてわかったんだろう


まさか…

この場所はおじさんが若い男を

捕まえる場所なんだろうか


僕が物欲しそうに

誰かを待ってるように見えたんだ…



だけど、聞いたことのある声だった

ような…

まさか?


いやいやいや…

あんな可愛くないおじさん知らない

キスも無理だよ

気安く肩抱くなよ



…僕は何言ってるんだろ


「おじさん…」







あのあと、あのおじさんのせいで

ますますおじさんが恋しくなって

会いたくなって

しばらく涙が止まらなかったんだ



そして去年の夏の終わりにも

あの場所にいた


いつもみたいに期待と不安と

ちょっとの妄想を胸に秘めて

…あと、あの変なおじさんに会いませんように…と願いながら。


何日…何時間…

待ってもおじさんは来ない



それでいいんだ


期待はしていても

会えないことは想定内だし

今はもう待ってることが目的で

会えないことが

おじさんへの永遠の想いに

なってるような気がするよ



…変なおじさんも来ない…


来るなと願っていたくせに

なぜかがっかりしてたりもする



この場所は

不思議な場所だな…





いつの間にか眠ってしまっていた



辺りは暗くなっていて

空一面に星が輝き

海の水面は月明かりを跳ね返すかのようにキラキラしている


空と海に

もう諦めろと

盛大に見送られてるようだ


「うん…もう諦めるよ」


おじさんはおじさんの人生を

楽しく過ごしていてくれたら

それでいいんだ



静かな砂浜を歩く


僕が砂を踏みしめる音と

うるさいくらいの波の音


諦めると言いながら

その音をきくと

頭も心もおじさんだらけになる


音だけじゃないよ


海の匂いも

心地よい風も

この場所の全てが

おじさんを忘れさせてはくれない


やっぱりもう

この場所には来ないでおこう


そうすれば

いつか忘れられるよね

 





「おう!もう帰るのか?」


顔を上げ、声の先を見ると

暗い中に誰かが立っている


「…おじさん?」



暗くて顔はわからないけど

2年前の変なおじさんに似てる


互いに向かって歩く

だんだん相手のことが見えてくる


顔を見るのがこわくて

視線は足元のまま 


ギョサンに短パン…

島の人だろうか



「翔…」


「……!?」


 

僕を呼ぶ声にハッとする


こういう時は

恐る恐るゆっくりと視線を

上げるんだろうけど

そんなの無理だよね


気付いたら

おじさんの目の前に立って

上から下まで舐め回すように

見てる


「な…なんだよ…恥ずかしいだろ」


「はは……」


おじさんに会えて嬉しくて

たまらないのに

意外と何も言えないもんだな




「…オレ、変わったか?」



「ぜんぜん変わってないよ!

ヒゲもないし…」


「ヒゲ?」


「いやいや…何でもないよ」


「まさか、ヒゲおやじと…」


「そんなわけないだろ!!」


冗談でもムッとした


「ずっとずっと会いたかったんだよ!

毎年ここに来て、おじさんのこと待ち続けてて、でももう諦めようと思って…でも忘れられなくて、そしたら…おじさんが……

どこにいたの?今まで何してたの…」


さっきは何にも言えなかったのに

感情が抑えられなくなると

たくさん言葉が出てくる


「…わかった」


おじさんは一言呟いて

僕を抱きしめる



うわ…っ〜



本当はもっと言いたいことあったけど

どこかに消えちゃって


それだけじゃなくて

4年半のおじさんへの募った想いが

またリアルになったというか

昇華されたというか

なんだかふわふわしてる



「おじさん…会いたかった」


「…うん」



おじさんは

僕に「会いたかった」とは言わない

けど、今こうして抱きしめてくれてるんだから、きっと会いにきてくれたんだよね



嬉しくて涙がこぼれる 

泣くのは

変なおじさんに会って以来かな



「また、泣いてるのか?」



おじさんが涙をそっと拭いてくれる。


あぁ…おじさんのおかげで

あの変なおじさんのせいで流れた

涙が浄化されていくよ


…ん?…また?  

…って…


おじさんの前で泣いたかな?



あの時…泣いてた?


今おじさんの前であの時のことを

思い出すのは

あまりに恥ずかしいから

これ以上深く考えないことにするよ



ずっとずっとずっと

こうしていたいけど

明日帰らなくちゃいけない



このまま別れたら

また会えなくなって

今度は一生会えなくなるかもしれない


僕は

もっともっと知りたい

ずっとずっと一緒にいたい


おじさん…

まだ、あの人のこと想ってる?


僕のこと想ってくれてた?


……僕の気持ち伝えたい




まずは名前から聞いてみようかな






  ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡


お久しぶりです

いきなりの投稿ですが

また後日ご挨拶させていただきます



Side翔 ということは…www


もうすっかり忘れてますので

書き方や世界観が変わっていたら

ごめんなさい


全て限定にすると

書いてましたね

そんなことすら忘れて放置して

ました


また急に限定にするかもしれませんが

変なこだわりはなくなったので

ご自由にご覧ください


ではでは