有料老人ホーム

 

 

通院は、変わらず月に一度続いていました。

病院までは片道1時間近くかかります。

その通院だけでも、私にとっては小さな遠征のようなものでした。

 

診察のたびに、

先生からある提案を受けるようになりました。

 

それは、

住宅型の有料老人ホームへの入居でした。

 

 

先生の患者さんの中には、

すでにその施設に入居している方が多くいるそうでした。

 

「もし空きが出たら、入居を考えた方がいい」

 

診察のたびに、

そう言われるようになりました。

 

先生の説明は、

とても現実的なものでした。

 

一人暮らしでは、

できる治療に限界があるということでした。

 

もし強い薬を使って、

副作用で倒れてしまったらどうするのか。

誰にも気づかれない可能性がある状態では、

強い薬を出すことも難しい。

 

見守りのある環境であれば、

いろいろな薬を試すこともできる。

だから施設に入った方がいいのではないか、

という話でした。

 

 

ただ、私自身の状態は、

通院を続けても、

良くなることはありませんでした。

 

薬も増えたり変わったりしましたが、

はっきりと改善したと感じることはありませんでした。

 

あるとき、

先生に相談したことがあります。

 

「なかなか良くならないのですが」

 

すると先生は、

こう言いました。

 

「結局、気持ちの問題なんです。

あなたが治る気持ちを持たないと、良くならない」

 

その言葉を聞いたとき、

正直なところ、

どう受け止めていいのか分かりませんでした。