お兄ちゃんがデイケアに行くと、

午後はだいたい近所の公園へ散歩に行くらしい。

高校を卒業して、17年間。

ずっと在宅生活をしてきた。

カラダに自由が利かないから、

他のお友達みたいに「授産施設」や「障害者雇用をしている企業」

なんかには到底入れず・・・

でも、彼にとっても17年間は、

彼自身苦痛なんかじゃなく、毎日平穏に、

大好きなお母さんのそばで暮らせる、楽しい時間だったと思う。



今から5年前。市に福祉センターが出来たとき、

父親は「厄介払いの意味」で、デイケアに預けろと言った。

母と私は猛反発!

お兄ちゃんの居たいと思う、ココロ安らぐ場所が家庭なら、

それでいいじゃないか!と。


ただ、その一方で「本当にこれが本人の意思だろうか?」と

思うことも出てきた。

体力や精神的な疲労を考え、初めは少しずつの時間の

登所から始めた。徐々に曜日を増やして、

朝から行く日も増やして・・・


もう、その頃の父は、初めこそあんなこと言ってたくせに、

兄のことなんて「見てみない振り」。いっさい関わってない。

いかに「厄介払いか」が、よくうかがい知れる。無責任男。



今は私と母が夢中。何より、外の世界にでて、

職員にやさしく接してもらって、

クルマでいろんなところへ連れて行ってくれる。

自立とリハビリを兼ねた訓練や、

私やお母さんの知らないところで、いろいろ頑張ってるらしい。

本人に内緒で見学に行ったことがある。

うちでは見たことのない表情で、作業に取り組んでいた。



最近は、陽気も良くなってきたので、

専ら散歩がおおいんだとか。

散歩は、いろんな景色が見れるから、面白いらしい。

公演をお散歩中のワンちゃんがいると、

先生が「ほら、○○さんちのダンディーちゃんと

 ブルーちゃんのお友達だね。」なんて

声をかけてくださるそうで。

すると、すこぶるご機嫌でニコニコしているとか。



1日の申し送りは1冊の連絡帳。

朝は母が家庭での出来事を書き、

帰りは職員がデイケアでの出来事を書く。

さしずめ、先生と保護者の交換日記(笑)



家に着くなり、大袈裟に

「今日はどこに行ったの~?」

「ダンブーのお友達にこんにちわしたの?」とか

話しかけてあげると、ニコニコ。



今日は、車いすから降ろした時に「コロン。」と

床に落ちたものが。


$頑張りすぎないように、頑張ります。-2009091504410000.jpg


どんぐり、だ。

子供のとき以来だなぁ・・・なんて感慨深げに思った。



自然に触れて、人とも触れて。表情が豊かになった。

養護学校時代は人見知りで有名だったのに(笑)

私と母親とで、全力で兄を大事にしたいと思って、

毎日奮闘中!



でも、私が今、こんなカラダなので、

母の負担が増えてしまって、申し訳ない。

「気にしないで!アタシの息子なんだから!

 アタシがやって当然なのよ!」と気丈に言い放つ

母のコトバが、やけに胸を刺す・・・



今度の木曜日。

この前型取りした車いすのクッションの

試作品があがってくる。

業者さんが「お姉さんもご同席いただいた方が、

 お母様だけじゃ見えてこない、忌憚の無いご意見を

 言っていただけるので、助かります。」



あの・・・妹、なんですケド。

確かに、抱きかかえたり、だだこねた時になだめたりするから、

姉っぽく見えるんだろうけど・・・

でも・・・妹、なんですケド。



兄、43なので。その姉って言ったら・・・

ひょえーーー叫び


まぁ、兄貴が障害のせいで「童顔」ということも

災いしてるだろうけど・・

でも、どこに行っても言われるのよ。

歯医者、病院、ボランティア・・・

でも・・・妹、なんですケド。





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