県庁が本来すべき仕事とは? | 民間経験者採用の地方公務員が「公務員のお仕事」を語るBLOG

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銀行マンから「民間経験者枠」の試験を経て、ある県の職員になった地方公務員が、視点から公務・政治を語るブログ。

この頃、「○○県ブランドを広めよう」だの、「××県製品を中国に売り込もう!」だの、いわゆる県産品の販売促進について「県庁が主導を取れ!」と議会・経済団体などから言われることが多い。


そして、都道府県が事務局となり、「○○県物産展」などを国内・海外などで開催されている。


その担当者らに聞くと、


●じゃあ「イベントやるから出たい人、手を上げて」と言っても、実際に手を上げる業者はいない。結局、県が業者回りをして無理に出席者を集め、何とかイベントの体裁を整えて実施。

●県が主導を取ると、イベントという花火を一発上げておしまい。業者もお付き合い出てる会社なんかは、売る気も少なく、展示商品がイベント実施先で継続販売に繋がる例はあまりない。

●結果的に、議会・経済団体向けに「県として言われたことはやりました」と抗弁するためのイベントさ・・・


などと、冷めた回答が返ってくることが多い。


実際、自分も地元業者などから

「県で音頭を取って売り込みやってよ!」

と言われることがあるが、その際は


「いいですよ。県は補助金で黒子として援助しますので、イベントの実施主体・事務局はあくまで民間で、リスクも自分たちで取って実施して下さい。その方が売り込みにも力が入るし、県庁から余計なことも言われないで済むでしょ」


と返答します。これは間違いでしょうか?


公務員が本来すべき仕事は、道路整備などの公共事業、警察・消防などの治安維持、民間事業者等が円滑に業務を行えるようにするための許認可事務、等が第一義であり、これらは絶対的に責任を持ってやる必要がある。


しかし、販売促進などは、本来、民間事業者等が市場経済の中で独自で行うべきで、もし都道府県が関わるとしても、「自分達でやるから応援してくれ!」というヤル気のある業者の集団等に、補助金の範囲支援をする程度が適切ではないか。


商売の経験もなく、実際の販売リスクも取れない県庁がイベントの主導を取って、民間以上の働きができるのか?「モチはモチ屋」が一番でなのだ。


そして、それが民間業者を鍛えることにもなる。

ダメな商品はダメ、ヨイ商品はヨイと明確になる。


そして、そういうヤル気のある業者の「まとめ役」になるべきなのは、県庁ではなく、商工会議所・商工会・農協・漁協・建設業協会などの団体なのだ。


地方公共団体が主導を取って、販促・観光誘客などをやろうとすると、「売れない道の駅の販売店」だの、「結局潰れる遊園地」だの、「サービスの悪い宿泊施設」だの、余計な第3セクター設立と「箱物」建設等に繋がるのはご存じのとおりである。


でも、相変わらず、商工団体等は面倒な役目を自治体にやらせようとし、議員も票を考えて「県でやれ」などと言ってくる。


そして、県庁幹部は言い負け、部下に「効果のない税金の無駄遣いとなるような仕事」が降ってくるのである。


こういう「仕事のための仕事」を減らすだけで、どれだけの県職員を削減できるのだろうか。


それは本来、県庁がやるべき仕事でない」と論理立てて言える公務員が必要なのだ。


そして、団体、議員なども、その上からの立場から「何でも行政でヤレ!」というのではなく、「公務員・民間の両方の利益のためにどうすべきか」をキチンと考えて欲しい。