ボリュームを出したい時や
華やかさを出したい時に
大活躍するお花。
 
しっかりとした1本の茎から5~10輪の花付き。
小さなユリが集まったように賑やかな花姿です。
1本で飾っても、かなりボリュームがあって豪華です。
 
色もホワイトグリーンのナチュラル系から
赤や黄色などのビビットカラーなど
とても豊富です。
 
多彩でエキゾチックな花。
 
【アルストロメリア】 Alstroemeria
単子葉植物  多年草 南アメリカ原産
和名 百合水仙
 
南米に100品種ほど自生しています。
ほとんどは年に1回、春から夏(4月~7月くらい)に咲く一季咲きですが、
場所や環境によって長期間咲き続けるものもあります。
 
1753年に南米を旅行中だったカール・フォン・リンネ氏が種を採集し、親友のスウェーデンの男爵クラース・アルストレーマーの名前を花に残しました。
自分の発見した花に、親友の名前を残すなんてとても大切な友人だったのですね。
時を越えて、今ではあちこちの花屋の店頭を華やかにしてくれています。
私が花屋に勤めたばかりの頃
難しい名前ですぐに覚えられなかった思い出のお花です。
花屋スタッフの中では
アルストメリアと略した言い方をする人も多いです。
 
1926年(大正15年)に日本に渡来しました。

 

1998年に長野県で開催された冬季オリンピックで、メイン花材として使われました。


生産量全国トップを誇る長野県の伊那市へお邪魔しました。

 

あちこちで桜が咲いているぽかぽか陽気の東京から車で約3時間と少し。

車から降りた瞬間に出た言葉は「寒い!」

朝、長野では雪がちらついたとのこと。春はもう少し先かな?

 

出迎えてくださった、JA全農長野の吉澤栄二さんJA上伊那の谷口昭一さん

 

案内されたのはオランダから輸入された株の試作品種ハウスです。

 

明るいハウス内で多種多様なアルストロメリアが花開き、そこはすっかり春のようでした。

500坪ほどの土地で吉澤栄二さんのお父様が35年間、ご自身も20年間生産されています。

 

試作品種ハウスとはどういうハウスなのかというと・・・

オランダから輸入される株が大体1株2500円で4年くらい契約栽培なので(株分け禁止で更新)1本あたりから本数がどのくらい切れるのか?長野という土地で育つのか?色の出方、花の付き方、株の強さなどをこのハウスで栽培して先ずはチェックするのです。気温差で色が変わったり、1年目は良くても2年目に弱くなる、などあるので細かいデータをきちんと取ります。

より良いお花を作る為の生産者さんの影の努力を、産地に行くと目の当たりにして頭のさがる思いです。

この株は大丈夫!ということになれば、オランダに注文して輸入されてきます。

そのままハウス内で終わってしまうアルストロメリアもあるのです。

昔3メートル50センチまで育った品種もあって、高いハウスの屋根まで届いて驚いたと話してくださいました。

今回も2メートルくらいのアルストロメリアがありました。

 

ダブル咲きのまだ名前のないアルストロメリア。

一瞬、奇形?と思ってしまいました。

アルストロメリアではない違うお花のようです。

1本だけでもとてもゴージャス!

 

段咲きのスィートポテト。

さつま芋の皮の色からついた名前かどうかは分かりませんが、ボルドーカラーでとても格好良い品種です。

名前もインパクトがあり、すぐに覚えられました。

『名前』ってとても大事ですね。

花は小輪サイズで無花粉タイプです。

 

上から見た蕾のアルストロメリア。

なんて可愛いんでしょう!

 

品種選定は生産者さんとの個人面談で決まるそうです。

生産者さんのハウスや色の好み、色バランス。

常に情報共有して品質を保持するのです。

情報共有ってとても大事な事だなぁとつくづく実感します。

花屋と生産者さんも情報共有して、そこからうまれる事って計り知れないんじゃないかなと思います。

私が産地に足を運ぶのは、お花のことを学びたいのはもちろんですが、生産者さんと情報共有をしたいという気持ちが強くあるからです。

情報共有する事でお花の魅力をさらに知り、次に繋げていきたいと思っております。

 

昔、伊那市には120名の生産者さんがいたそうですが、今では53名だそうです。

半分以上減ったにもかかわらず、生産本数は昔と変わっていないそうです。

これはとても凄いことです。

20代の若い生産者さんや後継者の方がいて安定しているのが理由の1つです。

 

吉澤栄二さんの試作品種ハウスから更に車を走らせて・・・

 

標高850メートルに位置する圃場へ。

 

2代目で後継者古畑雅一さん

 

オランダへ行って育種家の方と話したり、苗試作に関わったりと精力的に取り組んでいます。

とても落ち着いた話し方。

質問にも簡潔に分かりやすく答えてくださり、頭脳派なのが伝わります。

そして、テキパキと働く姿は見ていて気持ちいいくらいです。

 

ご両親が40年前にグロリオサやテッポウユリを生産していましたが、根がつかず今はアルストロメリアのみの栽培です。

古畑雅一さん20年前から生産しています。

 

1500坪の土地で大きなハウスが6棟と新しく建てたばかりのハウスが2棟。

雪害よりも風による被害がひどいらしく、昔春の強い風でハウスが潰されたそうです。

 

 

さっそくハウスに入らせていただきました。

ハウス内は12℃~14℃に保たれていて、水やりは灌水パイプを使っています。

 

株は交互に植えられていて、表面が乾燥しないようにサトウキビチップが敷かれています。

 

生産されている品種は9品種

*ピンクティアラ(ピンク)*ルールマリン(ピンク)*ブラン(白)*ホイットニー(白)*ホイップ(白)*ハニーソフィア(黄色)*フラメンコ(赤)*ストレータス(紫)

新しく建てたハウスにスィートポテトカプリを新たに植え付けする予定だそうです。

 

天井が高くて、清潔感のあるハウス内ではスタッフさんが採花の真っ最中でした。

うっかり立てたまま忘れてしまっても、

翌日に水切りすれば復活するくらい丈夫なお花なのだと古畑雅一さんは話します。

 

採花した花をある程度まとめて、押切りという鉈のような道具で簡単に切り揃えます。

 

作業場は敷地内にあり、ハウスのすぐ近くです。

 

 

手でささっと下葉をあらかた取り除き、長さを選定する機械に乗せていきます。

棒のようなものが出ていて長さごとに下に落ちる仕組みです。

繫忙期にはスピードを変えてフル回転するそうです。

 

前処理剤を入れて保水して出荷します。

 

ずらりと並んだ出荷用段ボール。

箱詰めは、品種によりますが10本ごとに束ねて1ケース(40~50本)が目安です。

目の前で箱詰め作業を拝見させていただきましたが、あまりのスピードの速さに驚きました。

始めたと思ったら一瞬で終わっていた・・・みたいな。

 

繫忙期には採花した花を選定して、100ケース~140ケースを出荷時間までに終わらせないといけないのでスピードが要求されます。

本当に凄いなぁと感動ものでした。

 

そして

古畑雅一さんに好きな品種をお聞きしました。

 

【ブラン】

試作段階でまだ名前もない時に見て、蕾から真っ白で美しいなぁと思ったから。

育てるのも手がかからない品種。

 

【ホイップ】

ドミニクさん(イタリアの育種家)が作った苗で歳も同じで親近感がわいたから。

無駄な花芽が出なくて育てやすい。

 

どちらも白いお花の品種です。

産地見学させていただく際に、生産者さんに好きな品種をお伺いすると白い品種を上げる方が多いなぁと思えます。生産が難しいけれど、魅力が一番伝えやすい色なのかもしれませんね。

 

古畑雅一さんにとって、

これが一番!と思える品種はまだなくて、

手がかからない品種は花が出なくて切れなかったり

色で選ぶとボト病(灰色かび病))などの病気が出たりと

試行錯誤しながら、より良い品種を生産してアルストロメリアの魅力を伝えていけるようにしたいとのことです。

 

アルストロメリアは基本的には6枚の花弁があります。

そのうち3枚には、スポットと呼ばれるそばかすのような模様があります。

これは、虫などを惹きつけて交配させるための模様です。

このスポットをなくすと弱くなるそうです。

だからといって、スポットがない品種が花もちが悪いわけではありません。

花粉の粉が出ないように処理されている品種も多く出回っており、花もちは断然良いです。

 

段咲きのアルストロメリア

無花粉で交配しないので、花もちは物凄く良いです。

今回、産地見学ですっかり気に入ってしまったスィートポテトもその品種です。

ナチュラル感満載です。

 

これからが最盛期のアルストロメリア。

 

ぜひ花屋の店頭に足を運んでみてください。

様々な品種にきっとお気に入りが見つかると思います。