↑の続きです
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見れば何のファッション性もなく黄色い石が無骨にハマっただけの
正直ダサイ部類の物で俺は困惑する。
そして18000ルピーが安いのか高いのか、
「えっと…ちょっと考えます…」
そう言って逃げるようにその場を離れようとすると、
「ノーノー!コレは運命変える指輪ネ!
金アップと悟りの道って同じカテゴリなのか…?
内心ツッコミたくなるも、彼の勢いに圧倒されて言葉が出ない。
商人の勢いに気圧されつつも俺はなんとかその場を離れようと試み
「本当にスペシャルプライスよ!他の店はもっと高い!
運命を 変える。その言葉がずっと頭の中で反芻している。
気づけば「18000ルピーでいいんだね?」
現金を手渡すと商人はニコニコしながら指輪を俺の手に握らせた。
「アリガト!アリガト!これであなたの人生、very very good になります!」
笑顔で去っていく商人を見送ると改めて指輪をしげしげと眺める。
...大阪のオバちゃんだって付けないんじゃないかなぁ。
まあコレもひとつの旅の思い出かと、
さてさて、もっと間近でガンジス様を拝みますか。
実は沐浴するかどうかまだ決心しあぐねている。
インド人たちからすればとっても有難い川なのだろうけど、
何のためにインドまで来たんだとも思うが、
グズグズと悩みながら寝そべっている犬やボンヤリと川を眺めてい
その足がピタリと止まった。
ゆっくりと顔を横に向けると、
インドでは別に珍しい光景でもなんでもないんだろう。
でも、目が離せない。
何て言うんだろ、
微動だにしない男の生死を確かめるべく俺はもっとよく観察する。
「うゎ...っ!?」
突如男が目を開きギョロっとした双眼で俺を見据えた。
生きていたという安堵感よりも威圧感の方が勝り思わず半歩後ずさ
立ち上がって手にしていた杖を振り回しながら何事かを喚きはじめ
英語なのかヒンディー語なのかすらわからない。
アレだ、
とにかく心臓は冷や汗をかいた。
「 तीन साल बाद आओ!」
「ちょっ...!待っ...!」
この細い体のどこにこんな力が!?
左足のサンダルが脱げ、右足も脱げ...
「やめっ──」
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結局指輪を買ってしまったヤマダ...!
そして謎のサドゥー!どうなるヤマダ!!