葬送のフリーレン、そうそうリンディはフレーリン | 鈴吉の部屋・シーズン2

鈴吉の部屋・シーズン2

ギターについて徒然に。

の期からの続きになるが、今期のアニメの中でも葬送のフリーレンと薬屋は圧倒的に面白い。

原作に忠実なだけでなく、声優の頑張りにまた魅了される。登場人物に対して原作で抱いていた僕のイメージを超えて独り歩きしている。つくづく表現力は大切だなぁ。

 

前、アメリカの超絶テクニックギタリストにレスポールをレンタルしたときの話。

戻って来たらピックアップがリンディ・フレーリンのPAF/HOT HUMBUCKERに替えられていて、凄く良いピックアップリプレイスしておいてあげたよ!と、いかにも感謝しなよ的なトーンで言われたことがある。

 

貸したときに載っていたのはダンカンのSH-1、59。

それもビンテージ的な価値をぼちぼち見直されるようになった古いセイモアライズド・ステッカーのもの。

うーん、入手の難易度なら元の方がいいんだけどなぁ…っていうか、替えたのなら元のものを付けろよというのが正直な話。

ただ、クリエイティブな世界で自分を表現することを生業にしているアーティストには、リンディのトーンが力強い味方になってくれるのかなんて納得もした。特にパワーのあるリアは。

 

当時素材からヴィンテージにこだわったスローバックやベアナックルなど、リアルなPAFリスペクトがぼちぼち出回り始めており、リンディといえばどちらかと言うとシングルコイルのイメージだっただけに、耳のいいプロが選ぶハムはリンディなのか?と意外といえば意外だった。

僕が向いていたのは表現するための道具ではなく、50年代のPAFへのあこがれだったのかもしれない。

 

 

現在ウチにあるリンディは故ジョン・イングリッシュが、ワンオフのアルダーで作ってくれたカスタムテレに付いているP-90。ジョンがアルダーにしては少し重めの材をチョイスして作ってくれたこのギターにとても合っていると思う。

 

 

 

実はもともとこのギターのためにジョンが選んだのはダンカンだった。それをリンディに載せ替えるとはどこかで聞いたことあるような話。勿論僕のほうが早いよ!

そもそもカスタムもの。正解がないだけになんでもありなんだけど、大事なピックアップを替えるとは苦々しく思っているかも知れない。

 ただ、ともすれば単調になりがちなシンプルな素材のギターに、もう一つ表現力を与えるとすれば、一番手っ取り早いのはピックアップなのは納得してもらえると思う。

 

 

 

本の音楽シーンを支えて来たドラマー、林立夫自伝「東京バックビート族」を読んだ。2020年に発売の本なので、まぁ今更なのだが…。

 

 

ある意味、日本で最も気遣いのできるドラマー。楽曲や歌手のことを考えて叩くことを50年前に気付いた人。彼が提供するアイデアは、楽曲をより個性的で唯一無二な物に押し上げてくれる。ディレクターやプロデューサーにとって心強い限りだろう。

 

育った環境かな。どんな場所でプレイしても、その中で最良の選択肢を自然に振る舞っているように見せる天才でもある。根っからの格好付け…というか格好悪いことが何よりも恥と考えているんだろうね。

自分の叩く曲の歌詞を教えて欲しいとか、仮歌を入れろなんて面倒な要求をしてきたのも、楽曲の中でお呼びではないドラミングをすることが嫌だったからかな。

東原力哉ならこりゃまた失礼しました、と笑ってすますところだろうけど。

 

 

の本を読んで、僕の持っている作品をじっくり聴き直してみた。もちろん、彼が今まで関わって来た曲は7000曲以上あると言うからほんの一部だけど。ずーっと馴染んでいたあのグルーブの一方で、派手なことをしないと思っていた彼がこんなアプローチするんだ、こんなことやっているんだなんて新鮮な発見があった。

 

 

大学時代のクラスメイトの伊藤くんは、素晴らしいオーディオセットを組んでJBLで鳴らしているのが自慢だった。

何を聴いているのか尋ねたら松田聖子だ、と言った。

当時はまさかの歌謡曲かよと思ったが、案外林立夫を大音量で味わう喜びを知っていたのかも知れない。

そんな伊藤くんは、赤いスイトピーの歌の頭のドラムが、跳ねて入りたい「どアイドルの聖子ちゃん」を宥めるように、大人の歌なんだからって置きにいく感じで遅れて入っていることに気づいたかな。

 

改めて聴き直して「裏方だあ」、「屋台骨だ」といっている割に、彼のドラムはなんだかんだ結構目立っていると思う。まあ自伝を書く…人っていう時点でそりゃそうなのだが。

 

木茂、小原礼とは中学時代からの繋がり、そこに細野晴臣、高橋幸宏、松任谷正隆、ユーミン、後藤次利、矢野顕子などを加えてファミリー。さらに大瀧詠一、パラシュートの連中、高中正義も含めれば日本のポップス界に逆に他に誰かいるっけ。

良くも悪くも日本でメジャーの勝ち組の音。子供の頃からの知り合いでなければ、真のメンバーになれない日本のポップスを牛耳る組織。

外から見るとちょっと窮屈そうにも見える。

高橋幸宏や坂本龍一、松原正樹、村上秀一など、他界し名誉会員になってしまった方々もいる。

 

どうか益々のご活躍をお祈り致します!