『忍』
この名を初めて知ったのは勤め先(郵便事業会社)の通販カタログ。うどん屋さんの商品名で『忍』と書いて『おし』うどんと言う。埼玉県行田市の地名だと解ったのはそれから後、その地に残る戦国時代の城のことを書いた小説との出会いがきっかけだった。
『のぼうの城』
何の取り柄もない1人の侍。知略も武芸も苦手で不器用なただデカいその体躯から、でくの坊変じて『のぼう様』と呼ばれるも一向に意に介さない、そんな目立たぬ存在の男が忍の城代を継ぐこととなり、侍大将となり戦った、この城が後々まで語られるようになる戦の顛末を記した物語である。
東国攻めをする太閤秀吉の命を受けた石田三成の水攻めにも耐え抜き、たった一ヶ所だけ残った坂東の城。行田市は現在私が住んでいる群馬県東部から利根川を挟んで対岸に位置するのだが、誠に申し訳ないが彼の地にこのような城があるとは知らなかった。
小説では、のぼう様こと忍城城代成田長親と周りを固める家臣たちから領内の農民に至るまでが生き生きと描かれていて、今までにない爽快さを感じる。時代劇によくある勧善懲悪ではなく、弱き者が強き者を相手に戦うという構図による、窮鼠猫を噛む的な物語だからかも知れないが、とにかくカッコいい。
一番好きなシーンを選べと言われたら、私はどこを選ぶのか…。
考えていたら幾つものシーンが頭をよぎったが敢えて一番を選ぶなら、のぼう様が衆議の席で『戦いまする』と抗戦を決意するシーン。強き者が弱き者をねじ伏せて降伏させ、支配するのが世の倣いなら儂は嫌じゃ!と叫んだその姿が見えるようで、読んでいて背筋が震えたのを思い出す。
武将としての誇りを汚されたと憤った静かな大将が下した大きな決断。家臣や領民たちも戸惑いながら付いていく。その心の内に皆同じ想いを抱きながら…。
『俺(私)たちがついていなけりゃ、のぼう様は何もできない』
人望?というのはかくも固い絆を生むものなのだ。
今年公開される映画『のぼうの城』。私はこのシーンがどうやって描かれるか楽しみでしかたない。
以上、『のぼうの城』感想文コンクール応募原稿…の下書き
でした(笑)
添付は
忍城三階櫓の遠景
(この位置から見た櫓がお気に入り)
大好きなお二方、成田長親さま&正木丹波さま…。幼なじみ主従コンビと

