ソロスの講義録  資本主義の呪縛を超えて/ジョージ・ソロス

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■読んで星:★★★★

<ざっくり>
前半は、世界経済全般に対するソロス氏の学際的・哲学的な見解がメインに書かれています。
後半は時事ニュースを基に、主にアメリカの覇権の終焉ムードと、中国の勢力拡大の様について
将来への予測も併せて論じられています。

第1講義 人間不確実性の原理(恩師カール・ポパーとの出会い/二度の世界大戦を生き抜いた父 ほか)
第2講義 「再帰性」と金融市場(金融市場の二大原則/バブル崩壊までの七段階のサイクル ほか)
第3講義 開かれた社会(「開かれた社会」と「再帰性」/政治家の主たる目的とは ほか)
第4講義 資本主義VS.「開かれた社会」(代理人は「誰」のために働くのか/「見えざる手」の背後に潜む「見える手」 ほか)
第5講義 未来へ向けて(「二番底」の可能性は消えていない/ワシントン・コンセンサスの呪縛 ほか)


<思ったことメモ>

特に「再帰性」というテーマがソロス氏としてはアツいです。
再帰性をかなり簡単に表すと、
f(現実)→認識:認知機能
g(認識)→現実:操作機能
世の中の問題は、上記のf(x)とg(x)とを同時に含んでいる、だから難しい、ということになります。
これは、ソロス氏に限らず、いろんな人がいろんな場面で思い当たる点だと思いますが、
逆に、そうでなかったら、つまり世の中のあらゆる命題がお互いに独立だったら、
いつか解が見つかってしまって終わってしまうのでは?
状況によって、最適ではないけど何とかなる解、ひとつではないからこそ面白い解を見つけては
その影響を受けたりしながら仕事や人生の時間を過ごしていけることが面白いのではないか、
混沌万歳、などと思っています。