本日、オンライン講座にてアニサキスを観察しました。

 

 

 


147名の方にご参加いただきました!





 

事前に、いつものなじみの魚屋さん、札幌市北区にあるみなとや鮮魚店さんに、

 

 

「アニサキスが観察しやすい魚って何ですかね~?」

 

と相談したところ、

 

「カジカだね!!」

 

と即答いただき、仕入れをお願いしておりました。

 




 

 

ここ数日は天気が悪く、海も時化(しけ)ていたので入荷が少なかったらしいのですが、

 

 

体長80cmほどの立派なカジカを仕入れていただきました。

 

(そして写真を撮り忘れる…)

 

 

参考資料。

グロくてヌルっとした見た目。

 

 

お腹をさばくと、

 

まー、出るわ出るわ。

 

 

アニサキス。

 

 

 

肝(肝臓)にたくさんへばりついておりました。

 

 


まーるくなってるのがアニサキス。






 

カジカなどの魚についているアニサキスは、実は幼虫。

 

アニサキスの目的地は『クジラやイルカなどの海に住んでいる大きな哺乳類』の体。

 

(参考:内閣府資料

 

クジラなどの体内で生まれたアニサキスの卵は、

 

クジラのフンと一緒に海に放出されます。

 

海の中で孵化(卵からかえること)します。

 

 

その後、オキアミなどの甲殻類の体内に入って成長し、

 

鮭、ホッケ、タラ、カジカなどの魚やイカの体内に入ってさらに成長。

 

 

最終的に、クジラやイルカの体内に入ると、

 

晴れて大人のアニサキスになります。

 

 

 

ということは。

 

今、わたしの目の前にいるこの子。

 

 


 

 

この子たちは、残念ながらクジラにたどり着けないまま人生、ならぬアニサキス生を終える、

 

ということになります。

 

 



 

間違って、生きたまま人のお腹に入った場合は、

 

そのままウンチと一緒に出てくる場合もありますが、

 

人の胃や腸の壁にへばりつき、

 

その人が激痛で苦しむこともあります。

 

 

 



これが、アニサキスによる食中毒です。

 

 

最近では、痛みの原因はアレルギーなのではないか、という説もあります。

 

食中毒を防ぐためには、加熱もしくは冷凍する必要があります。

 

 

 




 

 

ということで、ココからはオンライン講座でいただいた質問にお答えしていきます。


 

Q.アニサキスは加熱や冷凍で消えるんですか?

 

A.消えません。死ぬだけです。

 死んでしまえば、食べても問題はありません。

 ただのタンパク質です。

 

Q.さばいたときに見えているアニサキスは生きているんですか?

 

A.生きているものもいます。

 その後、胃の表面と、皮と身の間でもアニサキスを見つけましたが、

 水に入れると元気に動いていました。

 動画では、酢に入れましたが、酢の中でも元気です。






 

Q.魚はアニサキスがついて痒い、とかわかるの?

 

A.人間も、サナダムシなどの寄生虫がついたときには自覚症状はほぼありませんので、

 魚にもないのではないかと思います。

 (という予想なので、もし、そういう研究があれば教えてください~。)

 

Q.無害な寄生虫はいますか?

 

A.寄生虫、というと悪さをするものというイメージがあるかもしれませんが、

 悪さをするものばかりではありません。

 特に害がないものもたくさんいます。

 詳しくは高校の生物で習います。

 

参考

 

Q.いい寄生虫ってどんなことをするんですか?


A.虫とはちょっと違いますが、

 例えば、マメ科の植物の根には『根粒菌(こんりゅうきん)』という菌が寄生しています。


 植物は自分で作ったデンプンを根粒菌にあげて、


 根粒菌は自分で作ったアンモニアを植物にあげる、



 そうやって、お互い、自分では作れないものを与え合う、という形でうまく共生しています。






Q.アニサキスの卵はどれくらいの大きさですか?

 

A.これが、調べてもちょっと出てこなかったんですよ。

 なので人間の寄生虫を調べてみました。

 サナダムシの卵は0.04㎜、

 人間に寄生する他の虫の卵も、0.02㎜から大きくても0.2㎜くらい、

 とのことなので、アニサキスもそれくらいの大きさではないかと思います。

 

Q.アニサキスの卵を人が食べるとどうなりますか?

 

A.食中毒を起こすのはあくまで幼虫なので、

 卵を食べても問題ないようです。

 

Q.アニサキスの他に寄生虫はいますか?

 

A.魚の種類や部位によって、いろいろな寄生虫がいます。

 今回のカジカにはアニサキスの他にも寄生虫らしきものがいましたが、

 調べたところ、『ニベリニア』ではないか、と思います。

 

↑その他、いろいろな寄生虫が載っているホームページなので、

興味がある人は見てみてね。

 

Q.アニサキスの寿命はどれくらいですか?

 

A.これもちょっと探せませんでした。

 ただ、魚の体から取り出したアニサキスの幼虫を培養して、

 成虫にさせることができる、という記録は見つけることができたので、

 人工的に飼育することは可能かもしれません。

 興味がある人はぜひやってみてください。(笑)

 

こちらの資料に載っています。

http://www.tokyo-eiken.go.jp/assets/issue/journal/2011/pdf/01-01.pdf

 

 ちなみに、人間の体内では長くても1週間くらいで死んでしまうようです。

 

Q.オキアミからそのままクジラに行くことはありますか?

 

A.オキアミから、他の魚を経ずにクジラに行った場合でも、

 クジラの体内で成虫になれるようです。

 

Q.アニサキスの名前の由来は何ですか?

 

A.英語 anis(o)=不同の

 ギリシャ語 akis=針、棘

 という組み合わせのようです。

 オスが左右で形の違うトゲをもっているから、この名がついたようです。


 

Q.他の寄生虫にはないアニサキスの特徴はありますか?

 

A.1個上の回答にある、左右違うトゲ、というのが一つ特徴ですね。

 また、一口に寄生虫と言っても、それぞれに特徴的です。

 実際に見比べたい場合は、こちらの博物館がおススメです。

 

 

Q.アニサキスは鮭やオキアミにとっておいしいんですか?

 

A.おいしいから食べる、と考えながら食べている生き物はあまりいません。

 目の前にあり、食べられるサイズだから食べている、と考えていいと思います。

 なので、プラスチックなども、ちょうど口に入るサイズであれば食べてしまうことも多いでしょう。

 

Q.アニサキスの生きがいは何ですか?

 

A.生きがいについて考えるのは人間くらいですね。

 他の生き物は特に考えることなく、

 生まれたから生きているのだと思います。


 

 

 

 

と、1時間でたくさんの質問をいただきました。

 

(時間内で答えられなかった人はごめんなさい!!

 

これで一応全部答えられたかな?)

 

 

 

ちなみに、胃の表面や、



身と皮の間にもたくさんいました。




そして最後は、美味しくいただきましたよー。


身と肝は鍋に、卵は醤油で煮付けにしました。



鍋は大量に出来上がったので、食べ切れるか心配です。笑