カバーの男の子がカッコイイですね(^^)
今回もまた亜美作品なのですが、この方にはちょっと珍しい男の子目線の一人称です。
精神を病み、大量殺人を犯して自殺した男を父に持つ瀧宮嵐(タキミヤアラシ)は、成長して刑事の職につく。
孤独な人生の中、ただ一人心を許せた存在が恋人の美虹(ミコウ)だが、レイプされた過去を持つ美虹は嵐に身体を開くことができず、しかも脳腫瘍で命を落としてしまう。
嵐はARという犯罪捜査にも使われるホンモノそっくりの仮想現実世界の中で、もう一人の美虹の運命を操り、なんとか彼女を生かそうとする。
時には殺人すら厭わずに。
そんな嵐の生活は、仮想現実世界の創設者・恒河(コウガ)という女性との出会いによって、少しずつ歯車が狂い始め...
いやー、正直いってとっても難しい小説でした(^^;)
犯罪捜査にも使われるホンモノそっくりの仮想現実世界が作られた近未来。何かの映画みたいですけど。
物理学の話とかも入ってきて、純粋な文系人間の千姫にはかなり頭がこんがらがってしまう内容です
巻末には参考文献がドッサリ...しかし、こんなフクザツな話を書き上げる桜井亜美ってやっぱりすごいー。
恋愛小説のイメージが強い方ですが、やはりこういうSFの入ったストーリーを書くと、筆が冴えますね。
現実にはまずありえない話なんですが、嵐の美虹への思いは切なく、そして二人に降りかかる運命は残酷。
たびたび引用されるダンテの「神曲」(言葉が難しすぎてよくわかりませんでしたが^^;)が、また独特の雰囲気を作っております。
評価は☆4つ。SF好きな人にはオススメかも。
ちなみに巻末にはあの「リング」で有名な、鈴木光司さんのインタビューつきです