今日は初体験の室井佑月さん。
今まで読んだことなかったのは、この人、小説家というよりテレビに出てる人、のイメージが強いんですよね個人的に(^^;)
どの番組に出てても非常にナイスキャラですが(笑)、作家になる前は女優やレースクイーン、ホステス等を転々としていたそうで、この作品にはその辺りの経験も生かされています。
表題作の「Piss」は、ハタチになる直前の女の子、みゆきが主人公。
田舎の高校を中退して東京に出てきて、六本木の風俗で働いています。
決して好きで選んだ仕事ではないのです。それでも料理人の彼氏の、独立して一緒に店をやりたい、という夢に向かって献身的に働くみゆき。
しかしその彼が、お金を持って親友と逃げてしまって...
エッチなシーンもとても赤裸々に、ロコツに描かれていますが、それ以上に切なくなってしまう作品でした(;;)
みゆきは自分でも言っている通り「頭が悪い」のですが、バカな分純粋で素直で、とてもまっすぐ。
ところが降りかかる運命はどこまでもヒサンで...でも、最後にはちゃんと救いがあるんですけどね。
他、5つの短編を収録した短編小説ですが、主人公の職業はどれもホステスだったり売れない女優だったり、筆者を投影したものが多いです。
テレビに出てる人がこんなにエッチなの書いていいのかよと叫びたくなるくらいエッチシーンは激しいですが(笑)でもエロさ以上に、強くて弱くて脆い。
そんな、人間の、ともすればすぐ壊れてしまうココロを、非常にリアルに描いています。
評価は☆4つ。エロくてけっこう倒錯的でブラックなので、人によって好みは分かれるでしょうが、個人的にはすごく好きな作風。
他の作品もちょっと読んでみたくなりました(^^)