映画を観終わった後、すっごくお腹が空きます(笑)

 

とにかく出てくる料理がとってもおいしそう!

内容はごくごく普通なんですが、リンコが作る家庭料理はすべて手間がかかってて食べる相手の思いやりに溢れています。

 

冒頭、主役の小学生トモは母親から育児放棄にあっています。

 

その象徴のような「コンビニおにぎりと簡易の味噌汁」。

無表情でおにぎりを頬張ります。

 

ゴミ箱にはおにぎりの包み紙でいっぱい。

これで今日だけじゃなく、ほとんど毎日母親から手料理を作ってもらっていないことがわかります。

 

ある日、トモに置手紙と1万円を残して母親はいなくなります。

初めての経験じゃなかったトモは叔父のマキオのもとに行きます。

マキオはとても優しい男でトモを受け入れますが、今は一緒に暮らしてる人がいる、と言います。

 

家に着くとリンコが迎えてくれました。


説明を受けていたトモはリンコを見て構えますが、リンコは温かい夕飯を作って歓迎してくれました。

唐揚げや煮物、手作り料理を見てトモは笑顔になります。

 

この表情の対比、彼女の今までの境遇を思うと切なくなります。

自分へ向けられる愛に飢えてるんだなーと感じます。

 

 

 

リンコ役の生田斗真くん。



 

正直、私にはゴツく見えます。

よくアクション映画やアクションシーンをされてるだけあってきっと鍛えているだろうし、七分丈の裾からのびる彼の手はキレイだけど、男性らしいです。

声も高めにしたり仕草も少しゆっくりしていて、だんだん気にならなくなってきますけど。

ふんわりワンピースよりはカーディガンに少しタイトなスカート姿のリンコがかわいかったです。

 



 

リンコの少年時代がまた泣ける。

心は女子だから柔道着がはだけるのもイヤだし、水泳なんてもってのほか。

色んな理由で体育をサボるリンちゃん。母親はそのことで先生から呼び出されます。

しかしそのことをリンちゃんに問い詰めず「リンちゃんは女の子だもんね」と抱きしめ、「おっぱいがほしい」と言うリンちゃんにブラジャーと手作りのおっぱいの詰め物をプレゼントします。

 

リンコの母親の愛が素晴らしい。

小学生のトモにも「リンコを傷つける人は誰だろうと許さない」と言えちゃう母。

その無条件の強い愛で育てられたリンコはとても相手を思いやれる人になりました。

 

それと対照的なトモの幼馴染、カイの母親。

気になる男の子がいる、とトモに打ち明けるカイはちょっと中性的な男の子。

クラスの目を気にしてるトモは「構わないで」とカイに言いますが、カイはトモだけが友達のようでいつも付いていきます。



カイの母はリンコとトモが一緒にいるところをみて、「あんな人といちゃだめ。家に来てもいいのよ。」と言います。

カイにはリンコのことを「普通じゃない。普通とは異常じゃないってことよ。」と説明します。

 

なんか色々言いたくなる母親です。

彼女は彼女なりに一生懸命カイを育て、息子にはこうなってほしいという思いがあるのでしょう。

できれば(彼女が思う)良い人間に触れ合ってほしい。

その中にリンコは入っていません。むしろ悪影響だと考えているのです。

そんな彼女はカイが書いた気になる男の子へのラブレターを黙って破り捨て、リンコたちのことを児童相談所へ通報するのでした。

 

それまで3人の共同生活は幸せそのもの。

リンコはこのままトモの母親が現れなければ養子に迎えたいとまで思っていました。

 

しかしリンコは工事は済んでるが戸籍は変更しておらず、まだ男性のまま。

なくなった男根の供養に編み物で男根を108個作り、それを燃やしたら戸籍を変更してマキオと結婚しようと思って毎日編み物をしていました。

なんてシュール!

リンコに懐いてきたトモはそれを手伝うようになります。

だんだん増えてくる手作り男根。

カラフルなんだけど、床いっぱいに手作り男根が溢れてるシーン、それを投げ合って楽しむシーンは笑ってしまいました。

 

トランスジェンダーのリンコは色んなところで嫌な目にあいます。

児童相談所に通報された時もリンコは職員に一瞬ヘンな目で見られたり、病院で検査入院した時も保険証は男性になってるからと男性用の大部屋に入れられます。

自分ではどうにもならない周りの無理解や偏見の怒りを彼女は編み物をすることで沈めます。

その姿は彼女の強さを感じます。

 

この映画は色んな母親が出てきて、強弱はあるものの子供への愛情が描かれています。

やはり、母親の愛は絶大。

それも無条件の愛です。

その愛情に自分の価値観や子供の気持ちを考えてない自分勝手な感情が入ると一気に子供は不安定になるのです。

 

トモの母親が再び現れた時、リンコは引き取りたいと言いましたがトモが選んだのは母親でした。

どんな母親でも子供には絶対的な存在なんだなーと感じました。