熊野三山巡拝のラストは神国日本の最も深淵たる所に関わる熊野那智大社。
我が国が神国である事の、その最も重要な鍵を握る聖地です。
それは、天業恢弘の為、日向を出立した神武天皇が長髄彦との戦い等を経て、迂回ルートの熊野灘から初めて踏んだ熊野の地、所謂、那智の海岸「にしきうら」に上陸されたとき、那智の山に光が輝くのを見て、この那智の大滝を探り当てられ、ここにおわす国津神・大己貴命を自らお祀りになられたから。
大己貴命は、神武天皇が建国をされた大和の守護神として三輪山に君臨された神であり、代々の天皇は、天照大神のみならず、大己貴命をも畏れ崇め奉る事によって国を治める事となった、その最初が、ここ那智の滝。
この地は、我が国の祭り事の原点なのだと感じました。
元来は、那智の滝の飛瀧神社がある辺りにお宮があるのみであったのを、時代が下り、熊野那智大社として現在のように滝から離れた山上にお祀りしました。
境内の御神木の大楠は、平重盛の手植えによるもの。
現在は胎内くぐりの行場とされていますが、これもまた、蘇りの地とゆう熊野信仰ならではのもの。
境内の隣には、青岸渡寺もあり、熊野信仰ならではの神仏習合の形態を色濃く残しています。
この地より、八咫烏に導かれ、神武天皇はいよいよ、大和国へと上っていかれる事となるのです。
今般の熊野三山巡拝の旅は、我が国の国體の根幹に触れる大変意義深き旅となりました。
なぜ、歴代天皇によって、あれほどまでに厚く崇敬されたのか、その深淵に迫る事ができました。