「松山千春 『帰ろう』に思うこと~松山千春 全作品解説190~ V1.1」S2805/R
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◇更新履歴
V1.0:2015.1.28 初稿
V1.1:2015.5.27 文章の修正、追加
■ 「帰ろう」 編曲者:清須邦義
1978年1月25日Rのアルバム『こんな夜は』のLP B面3曲目(CD8曲目/全11曲)。
◆レコーディングミュージシャン
○ オリジナル(楽曲個別ではなくアルバム『こんな夜は』のクレジット)
01. ドラム:岡本あつお(岡本郭男)
02. ギター(AG):安川ひろし、清須邦義
03. ギター(EG):安川ひろし
04. ベース:松本茂
05. キーボード:倉田信雄
06. パーカッション:中島御
07. マンドリン:清須邦義
08. コーラス:松山千春、清須邦義
◆2015..5.27 夢野旅人
ファーストアルバム『君のために作った歌』のレコーディングで東京を行き来していた時期の、「千春のひとりうた」。 先の記事に記したように、以下のように話して、この「帰ろう」を歌っている。
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先週は風邪をひいて困ったちゃんで。
俺、ずっと、あの、東京に行ってたんですよ。
運よく、LPが、レコーディング・・・。
~省略~
はっきりいってさ、約一か月ぶりに足寄に帰った。
それまで、レコーディングとかあって帰れなかった。
やっぱり足寄はいい。
~省略~
で、LPがさ、一応、録音終わったんですよ。
いろんな曲入れたんだけど、12曲入っています。
はじめ、どんな曲入れようかという話になって、
俺が提案したのは、AB面併せて12曲、全部「旅立ち」にしませんか。
叱られた・・・・。
思いっきり叱られた。
けど、一か月近く帰ってなかったから、すごい足寄に帰りたくなっちゃってさ。
それでさ、俺の編曲やってくれている松井さんっているんですよ。
あの人は、陽水(井上)が、3日間、下痢したような感じ。
あの人も田舎があって、東京に出てきて編曲やってるんですね。
で、俺たち、スタジオの中でレコーディングしているでしょう。
そのときは、ワーとみんなで騒いでいるわけ。
終わるとさ、一緒に車に乗って帰っていくわけ。
で、あの人は、聞き慣れない知名だったけど、渋谷で降りるわけ。
渋谷の地下鉄から、あの人は帰るんだけど。
そんとき、それまで、ワーと盛り上がっていたでしょ。
「ママフランセ、ハパ栗山」なんてやって、すごい盛り上がっていたのにさ。
あの人、車を降りるとさ、うわーっと人混みの中、ぽんと入って行くでしょう。
そうするとさ、すごい寂しんだよね。
今まで横で笑っていた人がさ、そんなか、人混みの中入っていく。
たぶん一言も喋らず、家にたどり着く。
すごい寂しさを感じたわけ・・・。
(ひとりでウケている客に)なして、ここウケるの。 べーんきょーう(勉強)になるね、努力。
じゃ東京の俺の編曲者ね、松井さんに届くように一発、歌います。
これ・・(会場の笑い) べーんきょーうになるね、努力。
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◆2014.1.28 夢野旅人
初期の作品の多くは、STVラジオ「サンデージャンボスペシャル」(日曜日正午~午後4時)内の「千春のひとりうた」で披露されている。
~ねえ帰ろう
僕は東京を知らないし 東京でなんて生きれやしない~
と、歌詞に東京が出てくる「帰ろう」。
この歌も、「千春のひとりうた」でリリース前に歌われている。
一日のレコーディングが終わって、
アレンジを担当してくれている松井(忠重)さんと渋谷で別れた。
それまで、みんなで楽しく騒いでたのに、
ひとり東京の雑踏に帰っていく彼の背中は、とても淋しげに思えた(要約)。
といって、「帰ろう」を歌っている。
別れ際の仲間の背中に、淋しさを感じとった千春。
つまり、千春自身が一番、淋しさや空しさを感じていたのだろう。
いずれは、誰もが自分のルーツである故郷を愛し慕う。
けれど、二十歳そこそこの青年である。
何年も都会暮らしをしているわけではない。
初めてといっていい、きらびやかな都会に、目を奪われてもよさそうである。
多くの若者は、夢をかなえるために上京する。
昔ならば尚更だ。
なのに、千春は「北海道でなければ自分の歌は歌えない」と貫いた。
生きることを楽しみながら、生活に密接した歌を、故郷の北海道で歌う。
一番大事なことを、デビューする前から気づいていた。
いや、足寄で、家族と、あの環境で生きることによって育まれた至極、当然の思いだったのだろう。
万が一、
千春が東京を拠点とした事務所で活動していたら、
松山千春のうたは、その時点で途絶えていたかもしれない。
「帰ろう」を聴くと、そんなことを思うのです。
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