「松山千春 『挫折』に思うこと~松山千春 全作品解説13~」S2134

 

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◇更新履歴

V1.0:2014.02.13 初稿
V1.1:2014.04.01 松山千春選曲ベストアルバムの収録有無を追加した。
V1.2:2015.07.14 文章を追記。

V1.3:2016.05.16 ラジオでの発言を追記。
V1.5:2016.11.05 記事を追記。

V1.6:2017.09.01 所有CD画像を掲載、是正
V1.7:2020.03.31 旧エディタにて作成した記事を最新エディタにて変換および是正

V1.8:2022.06.06 歌詞の追記等

V2.0:2023.05.26 オフィシャル動画・音源のリンク等

 

■「挫折」編曲者:瀬尾一三

1992年9月1日リリースのアルバム『挫折』の9曲目/全11曲

 

 

◇松山千春選曲ベストアルバム『松山千春の世界』DISC-3の2曲目

 

◇ライヴ

  

◆所有CD画像

 

◇レコーディングミュージシャン(後日、追記)
01. ギター(AG):
02. ドラム:
03. ギター(EG):
04. ベース:
05. キーボード:
06. ストリングス:
07. コーラス:


◇2016.11.5 夢野旅人

コンサートツアー「INTENTIONAL'92-'93」のパンフレット。

はじめと終わりに、プロローグとエピローグと題して千春のコメントが載っています。

改めて読んでみて、見逃していたと思いましたので、エピローグの冒頭のみご紹介します。

 

挫折というのは、本来、ある種の目標といったものがないと駄目なんだ。

何かに向かっていこうとして、やっぱりダメだったといっことが挫折感につながっていく。

ところが、今の世の中はさ、それ以前に目標といったものがないからさ、本来の意味の挫折とかけはなれてとらえられてることが多い気がする。

過去に挫折した人間たちに対するマスコミの扱いなんかにもそれが見えたりする。

 

いわいる「挫折の美学」なんだよな。

スタイルとして憧れられるような挫折というものを投影してきている。

ただ挫折といものの憧れとは別に、それ以前の「目標を持つ」ということに対する憧れは存在すると思うけどね。

 

「挫折」というものに対して、誤った考え方、とらえ方ではいけないと思っていたから、自分は、最もわかりやすいパターンとして挫折を取り上げたつもりで、この「挫折」という曲を書きました。

 

アルバム全体でもこのテーマにいきつくような考え方で構成したつもりなんだけど、「挫折」という曲の後に「夕暮れの街」、「こもりうた」を続けたのは、人間は誰でも、生まれた時からすでに、挫折が始まっているんだということを言いたかったから・・・。


◇2016.5.16 夢野旅人
15日放送のラジオ「松山千春 ON THE RADIO」NACK5。

番組の最後に、以下の様に語り「挫折」が流れました。

端的でしたが、伝わるものがありました。
-----

皆さんも、どうか一週間、できれば何事もない平凡な日常を送っていただければありがたいと思います。 
熊本、大分の皆さんはその日常が奪われてしまっているんですから。
自分も色んなことがあってコロムビアに移籍して「挫折」というのを出しました。 

長い曲ですから、なかなか全部かけるという機会はないんですが、今日は聞いてください。 

 

俺、本当にこんな気持ちだったんです。

 

と語り、

「挫折」で番組は終了しました。


◇2015.7.14 夢野旅人

1992年9月14日 ツアー初日である上越。

 

 

病院のベットでもうステージに立てないんじゃないかと思った。

と、話している。


デビュー16年目を迎えた1992年1月。

ずっと風邪気味で体調が思わしくなかった。

2月、大橋巨泉ゴルフトーナメントに出場するためハワイへ。


成田あたりから体調が悪化して、

現地へ到着するもの寒気が止まらずホテルで3日間毛布にくるまっていたという。
ゴルフはキャンセル、帰国後、入院。

入退院を繰り返してやっと思うように動けるようになったのが6月だったという。

 

当初は原因(自律神経失調症)がわからず、循環器系の病院に入院した。

そして、前述の「もうステージに立てないんじゃないか」という心境になったという。

 

そんなとき。

気遣ってくれる同級生から連絡をもらった。

そして、もう一度ステージに立つんだと奮起したという。

だから、

 

「ツアーの初日である上越で歌えるということは、自分にとっては、大きな目標でもあったし、感慨深いもの」

 

だったという。

 

そんな状況や想いの中でできた「挫折」。

 

何もしないで、自分の思い通りにいかないからといって、それは挫折ではない。

自分の夢や、

目標に向かって、歩みだしたときに、初めて人は挫折を知る。

 

どんなに努力しても、なれない、報われないことはある。

けれど、だからといって、それが不幸ということではない。

 

そう、考えたとき。

人は、挫折するために生まれてきたとさえ、病院のベッドの上で思ったという。

 

似たことは、上越以外の公演でも語っていますが、

自分が見た中で、一番、シリアスに語っていたのは、あの初日でした。

当時の手帳がでてきたので、追記しました。

 

◇2014.2.13 夢野旅人

今朝、移動のとき、口ずさんだ歌は「挫折」でした。

「TOUR」の8分01秒に迫る7分44秒の演奏時間という大作。

デビューへ16年目。

自律神経失調症に悩まされ春のツアーを断念した時期に生まれた一曲。

 

初演はリリース前、1992年8月2日 中津川での夏の野外イベントでのアンコール。

弾き語りだった。

 

~今でもきっきり覚えてる 町はずれのしけたガソリンスタンドの看板に落書きした言葉~

 

~先公 お前は嘘つきだ 何にもできゃしねえ~

ガソリンスタンド、先公という言葉が驚きというか意外だった。

 

~ガソリンスタンドの自動販売で 缶ビールを開け 二人空を見上げた~

 

~タバコもみ消し すべてにつばを吐いた~

10代の行き場のない不安な心情。それでも光輝く瞬きのような青春を描いた長渕剛の名曲「勇次」が頭に浮かんだ。

 

~先公 お前は嘘つきだ 何にもできゃしねえ~

 

長渕剛とは対照的に千春は荒々しい言葉や表現を使わない。

だから言葉の表現のチョイスが意外に思えた。

千春の歌は、世の中の大勢に喧嘩を売るっても、世の中に、己の人生や何かに、つばを吐くことはない。どの歌も生きることに前向きなのである。

この「挫折」さえ、感傷的ではあるものの「駄目なものは、駄目。負けを認めて一からやり直す」。 そんな前向きさが見え隠れする。

 

千春の歌には、浜田省吾が書く詞のような、10代の傷みを描いたどこか乾いた曲がない。

ユーミンが描くような青春の後ろ姿的な、胸がキュンとなるようなメロディアスで切ない曲はない。

キャンパスライフなんて無縁だろう。

 

子供のころから生きることに精一杯だった。

将来への漠然とした不安より、今日明日の米。

そんな生き方をしてきた千春に、世間一般が求める10代の傷みを描いた歌が生まれるはずがない。

 

松山千春が10代の傷みを描くとなると、この「挫折」のような作品になるんだと、そう思ったわけです。

 

コンサートではリリース時の92年秋からの「intentional'92-'93」でフルバンド演奏され、1999年夏の恵比寿でのライブでエルトン永田のピアノの演奏で歌われた。その後のツアーでイレギュラーで歌われた。

 

正直、2002年春、東京でのツアー最終日、夏目一朗の演奏で歌われた「挫折」以外、どれもあまり琴線に触れなかった。 2002年の「挫折」さえ、千春が涙ぐんで歌ったという要素が多分にある。 

 

中津川の弾き語りを凌駕するような感動はなかった。

2007年春のツアー「自壊」からだ。

ガツンと胸を鷲掴みにされた歌声となったのは。


~先公 お前は嘘つきだ 何にもできゃしねえ~

最後のフレーズを、十分な間合いをとり、できるだけ客席に近い位置まで移動して歌い上げる。

~先公~の震えるような歌い方が堪らなかった。

 

でも、きっと歌い方、演奏云々ではないのでしょう。

僕自身が、この歌詞の意味が全身で分かるようになったのが、この時期だったのだろうと思うわけです。

 

◆歌詞及びオフシャル動画・音源

 

 

今でもはっきり覚えてる 

町はずれのしけた 

ガソリンスタンドの看板に 落書きした言葉 

「成せば成る何事も」

 担任の先公の 口ぐせをまねてたら 

俺に移っちまい 

 

帰ろう 帰ろう 俺の生まれた町 

帰ろう 帰ろう いじけてしまう前に 

 

先公お前は嘘つきだ 何にもできゃしねえ

 

クラスのみんなに送られて 

汽車から手を振った 

先公お前の頑張れに うなずく暇もなく

「成せば成る何事も」

 だけどもうダメみたい 

なあみんな この辺で 許してくれるよな 

 

帰ろう 帰ろう 俺の生まれた町 

帰ろう 帰ろう いじけてしまう前に 

 

先公お前は嘘つきだ 何にもできゃしねえ

 

帰ろう 帰ろう 俺の生まれた町 

帰ろう 帰ろう いじけてしまう前に 

 

今でもはっきり覚えてる 町はずれのしけた 

ガソリンスタンドの看板に 落書きした言葉 

 

先公お前は嘘つきだ 何にもできゃしねえ

 

◆松山千春全作品に思うこと~1992-1995 松山千春全作品解説7~


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