2018年5月11日のツインズ戦で5号ソロを打つと、米メディアからは驚きの声が次々と上がりました。


「スポーティングニュース」のライアン・スピーダー記者の記事がユーモアがきいておもしろかったです。


『エンゼルスのDHショヘイ・オオタニの今シーズンの打撃成績は打率.354、出塁率.400、長打率.677』とツイート。


凄まじい打撃成績を伝え、最後に『そういえば彼は時々、先発投手もしている』と付け加えた。


この記事を見て久し振りに大谷の記事を書くことにしました。


14日もツインズ戦で先発、6回1/3を3安打1失点と好投しました。


ホームランを打てば投手より打者の方が良いのではないか。


もしかしたら打者に専念すれば、ホームラン40本、3割5分、100打点ぐらい打てるのではないかと思い、


今日の様なピッチングを見ると、投手に専念したら、15勝以上、防御率2.00台、サイヤング賞とMVPも


とれるのではないかと思い、見ているファンからすれば、何とも悩ましい選手ではあります。


大谷の最大の能力は何か?


投手としての160km/hを投げる並外れた能力、打者としての140m弾を打つ打力はもちろん魅力的ではありますが、


それに加えて、大谷の「頭の良さ」があると思います。


アメリカ30球団中、27チームから誘われて、本命と言われた人気球団のヤンキースやドジャースではなく、


日本人有名選手が輩出したマリナーズでもなく、西海岸中都市アナハイムを本拠地とするエンゼルスを選ぶなんてのは


にくいセンスですし、正解だったような気がします。


ヤンキースに入団していたら、マスコミやファンに追いかけまわされて大変な目にあっていたでしょう。


有名選手がごまんといて、「張本さん」や「ノムさん」みたいなOBに年中「喝」を入れられていたのでは、半年ぐらいで


つぶれてしまいそうです。


その点、エンゼルスの外野は静かな環境のような気がします。


サッカーでも、野球でも、バスケットでも、一流選手になるには技術や体力はもちろん、


頭もクレーバーでなければなりません。


もう一つは、運の良さです。


大リーグは新労使協定により25歳未満の契約金に制限がかかったのです。


その為、メジャー最低額の年俸6100万円からのスタートとなる様なのです。


日本人では田中将大が7年177億円の大型契約を結んでいるのを考えると、ずいぶん安い金額です。


大谷だと10年300億円出す球団は複数あったはずです。


奴隷契約とも称される、大谷の契約がなぜ幸運だったかと言うと、その為に大谷が金ではなく、本当に野球少年が、


好きな野球でメジャーと言う最高レベルの舞台を踏みたいが為に挑戦したと言う事が、アメリカ側にも理解できたことです。


ヤンキースのキャッシュマンGMは「金はいらないが、メジャーでプレイしたいと言った選手は初めてだ。


こんな選手が出てくるとは思いもしなかった。」と話しています。


アメリカは言わずもがな、現代資本主義の総本山です。


お金を不用なものとした鴨長明の「清貧の思想」のような哲学は、あまりありません。(アーミッシュのような人々もいる)


それでもアメリカは、大谷を、人間としてお金ではなく気高い理想を抱いて海を渡って来た若者としてとらえたと思うのです。


その為極端に敵が減りました。


才能を鼻にかけたジャパニーズととらえられたら、もうすでにデッドボールを5、6個ぐらい


食らっていたかも知れません。(しかも頭を狙って)


スプリングキャンプでの不調も幸運でした。


オープン戦では打率.125、防御率27.00という散々な成績でした。


名物記者のブルームは、「私の予想は5勝8敗だ。ホームランは5本未満」と評しました。


記者や評論家はマイナースタートを進言したものです。


シーズンが始まった時、メジャーの大谷に対する期待値は、非常に低いものでした。


その為ヒット1本で拍手喝采。


3試合連続ホームランを打った時の騒ぎ方は尋常ではありませんでした。


ユーチューブで動画を見たら、スタンドが揺れている様に見えました。




((2016年8月12日に大谷の記事を書きましたが、スピーダー記者の「たまに投手も」の記事に触発されて、


1年9ヶ月ぶりにⅣを書きました。


「イチローと大谷Ⅰ」、「Ⅱ」、「Ⅲ」(2016年8月の記事)も再掲しました。))