《青少年の凶悪事件は、1998年の指導要領改訂前後も続き、1997年「酒鬼薔薇聖斗事件」(当時14歳)、


2008年「秋葉原通り魔事件」(当時25歳)など凶悪事件は続いた事を考えると、「ゆとり教育」に移行したのも


当時としてはやむをえなかったのではないでしょうか。


そういう意味では、「詰め込み教育」から「ゆとり教育」への移行は必ずしも間違いではなかったと思います。


今度の指導要領改訂においても、教育の大きな柱として、人間教育は欠かせないと思います。


学校の勉強だけが全てではありません。》


法政大の児美川教授は「教育の基準、大綱的なものは指導要領で示しつつ、現場の先生方に教育を任せることが


できるかどうか、自分で考え、判断する21世紀型の学力を子どもたちに身につけさせるためには先生方が率先しなければ


育つわけがありません」と話しています。


15歳国際学力調査(PISA)ランキング(2015年~2016年)(加盟 世界70カ国)

科学
1位 シンガポール
2位 日本
3位 エストニア
4位 台湾
5位 フィンランド


読解力
1位 シンガポール
2位 カナダ
3位 香港
4位 フィンランド
5位 アイルランド
   ・
   ・
   ・
8位 日本


数学
1位 シンガポール
2位 香港
3位 マカオ
4位 台湾
5位 日本
   ・
   ・
   ・
12位 フィンランド


北欧の教育大国フィンランド


上記の国際学力調査(PISA)を見ると、フィンランドは科学で5位、読解力で5位、数学で12位と上位につけています。


フィンランドの教育に詳しい都留文科大学の福田誠治学長は


「知識の正確さや計算のスピードよりも、それを使うか、新しい知識を生む力を求める。


先進国の教育はそう言う方向に向いています。


フィンランドはその優等生。


日本は今後ろ向きでセンター試験改革も記述式を少し入れるくらい。」


日本の教育にダメ出しをする人は少なくない。


福田学長はどこが良くないと考えているのだろう。


「テストの点はいいが、その知識を使えないと言うこと。


原因はテスト自体にある。


『この知識はテストに出るかどうか』で学びが終わってしまうのです。


先生が『出るぞ』と言ってそれを生徒が学ぶ。


これでは独創力が育ちません」


《自分で企業するとか、新技術(イノベーション)を産み出すような能力ということでしょうか。》


「テストは子どもの自信を奪う」


テストがフィンランドと日本の差異を生んでいる、と指摘しています。


フィンランドの普通高校は、大学入学資格を得る所です。


アカデミックな勉強をやる気が無い人には知識が無い。


一方職業学校に行ったものの、大学に行きたくなった人は、普通高校に行き、必要な授業を受ければ良い。


自分に合わない学校に行ってもしょうがないと教師も親も本人も想っている。


《これと較べると日本の教育は全員を高校や大学の先生にでもしようとしているような教育です。》


これからは一生学び続ける時代です。


仕事も一つとは限らない。


だから、AL(アクティブラーニング)の議論をしているはずです。


日本は子どもの自主性に任せることを嫌う。


フィンランドは勉強時間も宿題も少ない。


けれど、教師の質が高く、自分がやる気になれば短期間で学べる環境が整っています。


一人一人の人生目標に沿って教える。


そういう考え方に変えるべきだ」と結んでいます。


《それはその通りだと考えますが、それを日本の詰め込み教育に今すぐに持ち込もうとすると混乱が生じるでしょう。


日本は資源の無い国です。


ダイヤモンドや石油が出るわけではありません。


資源小国の日本が、明治維新以降の学制(義務教育)により世界第2位(いや中国に抜かれて第3位)の経済大国として


立脚してきた歴史を考えると、勉強を子ども達に強いるのはやむをえないと思います。


又、子を想う親として、子どもには自分達よりは幸せになってほしい、自分たちよりは少しでも豊かになってほしいと願うのは、


当然であり、それが今の日本の教育(学制)を作った底流にある事を思った時、「学習指導要領」を改訂して今の学校・学びのあり方を


急激に変えようと言うのは難しいのではないでしょうか。》